ドジャー・ブルーがよく似合う?(ロサンゼルス・ドジャースの公式Instagramより)

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今オフ、メジャーの動向を左右する人物

 今オフ、メジャーリーグのオーナーたちは新たな労使協定を結び直すにあたって、給与総額において満たされなければならない「下限」と、フリーエージェント市場で優秀な選手たちを買い占めることを防ぐ「上限」を含むサラリーキャップ制の導入が提議される。「全オーナーの足並みが揃っていないようだ」との情報もあれば、選手会側もこれに強く反対しているという。27年シーズン開幕までに話がまとまるかどうか懸念されているが、オフの注目は新・労使協定の行方だけではない。敏腕代理人で知られるスコット・ボラス氏(73)の動向だ。彼は米球界を揺るがすカードを何枚か持っているのである。

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「メジャーリーグの最強左腕であるタリク・スクーバル(29)が噂通り、ドジャースにトレードされました。今オフ、スクーバルはFAになります。スクーバル側は4億ドル(約600億円)規模の大型契約を狙っており、彼の代理人は敏腕で知られるボラス氏です」(米国人ライター)

 ボラス氏とドジャースがどのような残留交渉を進めていくのかも興味深いが、近年のボラス氏は複数年契約を結びながらも、契約を途中解除するオプトアウトの権限を行使し、現状よりも高い年俸を出す球団に移籍させる手法を見せている。16〜24年アストロズ、25年ボストン・レッドソックス、そして26年にシカゴ・カブスと渡り歩いた内野手のアレックス・ブレグマン(32)がそうだ。この手法で今オフ、ヒューストン・アストロズの今井達也(28)も移籍させるという噂が現地では根強く囁かれている。

ドジャー・ブルーがよく似合う?(ロサンゼルス・ドジャースの公式Instagramより)

 その今井だが、現地時間8月3日のブルージェイズ戦にリリーフで登板し、3回を無失点に封じ込めた。ヒットは1本も許していない。地元メディア「Houston Chronicle」は「バットの芯で捉えられたのは1回だけ。5奪三振無四球で、(今井が投じた)34球のうち26球がストライクゾーンに決まる制球力も見せていた」と称賛していたが、アストロズのジョー・エスパーダ監督(50)は「素晴らしかったね。スライダーが良かった」と素っ気なかった。

「本来であれば、今井はこのブルージェイズとの3連戦で先発登板していたはずです。前回登板の7月27日、エンゼルス戦での内容が悪過ぎました。1イニングと持たず、2点を奪われています。それと、ブルージェイズ戦が本拠地ダイキン・パークでの試合だったので、今井を先発から外したのでしょう」(現地記者)

 今井は好投する試合もあれば、エンゼルス戦のように大炎上してしまうときもある。好不調の波が激しく、米スポーツ専門メディア「The Athletic」によれば、

「食事からマウンドまで、全てにおいてメジャーリーグへの適応に苦しんでいる。シーズンの残り試合数が少なくなってきており、チームもプレーオフ争いをしている以上、大事な試合で先発させることは難しい」

 と厳しく伝えていた。もっとも、これはエンゼルス戦でノックアウトを食らった直後であり、ブルージェイズ戦での好投後は「リリーフの適性が高い」と“今井評”を即座に訂正していたが、彼にはもう一つの「弱点」があった。本拠地「ダイキン・パーク」での防御率は6.09、勝敗は3勝3敗。ここまでのトータル成績は6勝4敗だから、「本拠地が苦手な投手」と地元メディアも首を傾げていた。

「アストロズは負傷していたハンター・ブラウン(27)、ヘーデン・ウェスネスキ(28)などの先発投手たちがまもなく帰ってきます。エスパーダ監督は明言していませんが、不安定な今井を先発ローテーションに戻すのは考えにくいです」(前出・同)

複雑な契約内容

 厄介なことに、今井とアストロズの契約にはオプトアウトのほかにも「付帯事項」が含まれていた。「アクティブ・ロースターの保証」。つまり、今井は不振がどれほどひどくても、26人のメジャーリーグのベンチ入りメンバーから外すことのできない選手なのだ。リリーフ起用は「苦肉の策」だったのかもしれない。

「今井は3年5400万ドル(約81億円)で契約しました。アストロズとの契約が決まった当初、『契約金の規模が予想よりも少なかった』とも伝えられましたが、5400万ドルの契約により、アストロズは今井の在籍していた埼玉西武ライオンズに997万ドル(約15億8000万円)の譲渡金を支払うことになりました。今井に興味を示していたメジャー球団は他にもありましたが、これがネックとなりました」(前出・同)

 アストロズは今井獲得に対し、100億円近い資金を用意しなければならなかった。代理人のボラス氏もこの譲渡金のために、契約の規模が思ったよりも大きくならないことは予想していた。だから、譲渡金の発生しない移籍1年目でのオプトアウト権にこだわったわけだ。

「ダイキン・パークが合わない」という状況も考えると、アストロズも強く引き止めることはしないだろう。ボラス氏も「環境を変えてやれば」「リリーフの適性も」のセールストークを使って、今井の長所をアピールしていくはずだ。

 また、ボラス氏が抱える今オフ最強のクライアントであるスクーバルだが、ドジャース移籍後の初登板となった8月4日のカブス戦で6回2失点と好投した。ドジャースを応援する専門メディア「Dodgers Nation」は「トレード期限まで多くの注目を集めた理由を実力で示してくれた」と合格点をつけていた。

「大谷翔平(32)の投手復帰の時期がまだはっきりしません。ドジャースの先発陣はオールスター級ですが、毎年故障者が出て、ベストメンバーを組める期間は僅か。スクーバル側が希望する契約に近い金額でまとまるとの見方が有力です」(前出・米国人ライター)

 ドジャースとの27年シーズン以降の契約について、ドジャース専門メディア「Dodger Blue」は米全国紙「USA TODAY」の「スクーバルの移籍第一希望はドジャース」の一報を指して、こう報じていた。

「オフにFAになった場合に契約金額を引き上げるため、ボラス氏がそういう情報を意図的に流している可能性もある」

アスレチックスは移転できるのか?

 ボラス氏が今オフ、ある球団の将来を変える“危険性”を含んでいることも現地では話題になっている。

「28年以降のラスベガス移転を決めているアスレチックスですが、昨季までの4年間で連続勝率5割未満です。再建期というよりも低迷期にあり、若い好選手が出現しても経営難でトレード放出せざるを得ない苦しい状況です。移転後、ラスベガスの市民に応援してもらえるかどうかも懸念されています。そんなチームにあって、期待の星とされているのが内野手のニック・カーツ(23)と捕手のシェイ・ランゲリアーズ(28)です。この2人の成長がラスベガス移転の運命の鍵を握っていますが、実は2人とも、代理人がボラス氏なんです」(前出・同)

 移転前に若きスター候補が移籍してしまうかもしれない。メジャーリーグでは年俸の5パーセントが代理人の相場とされているが、ボラス氏は敏腕なので「少し高め」だという。このオフにどれだけの大金を動かすのか。やはり、ボラス氏の動向は新・労使協定の行方以上に注目だ。

デイリー新潮編集部