親の6割が「反対」する18歳未満の子どもの整形…ただし「いじめやコンプレックスから解放されるなら」といった賛成の声も

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「二重にしたい」「鼻を高くしたい」――SNSを開けば、美しく加工された顔写真やさまざまな整形体験が流れてくる時代。TikTokやInstagramの影響もあって、いまや小中学生が美容整形の情報に触れる機会は増えているだろう。

整形賛成派「自分に自信が持てるなら」「原形をとどめていれば」VS.反対派「親への冒涜」「許さない」…【アンケート結果と親たちの本音を見る】

 かつては大人になってからの大きな決断だった整形が、いまやメイクやヘアカラーの延長線上のような軽い感覚で語られ始めてもいる。特に夏休みのような長期休暇は、ダウンタイムの確保のしやすさもあって、美容整形への扉を開くきっかけになりやすい。

 ただし18歳未満の子どもには、多くの美容クリニックで親の同意書が必要となる。もしある日、わが子から「整形したい」と打ち明けられたら、親はどう向き合うべきなのか……。「デイリー新潮」では、子どもを持つ30〜50代の男女200名(男女各100名)を対象に「18歳未満の子どもの整形」に関するアンケートを実施。イマドキの親たちが抱えるリアルな葛藤と、専門家による見解を追ってみた。

親の6割が「反対」する18歳未満の子どもの整形…ただし「いじめやコンプレックスから解放されるなら」といった賛成の声も

親の6割が「反対」も、実は葛藤する親心

 アンケートの結果、18歳未満の子どもの整形には全体の6割以上が反対や慎重な立場であることが分かった。

 一般論としての「子どもの整形」について、「なし(98人)・ややなし(25人)」は計123人で61.5%。「あり(24人)・ややあり(24人)」は計48人で24.0%と、反対派が賛成派を大幅に上回った。

 さらに、「自分の子どもが整形したいと言ったら?」という問いにも、「なし(81人)・ややなし(39人)」が計120人(60.0%)と、ほぼ同割合になった。

 興味深いのはその内訳である。「一般論としては『なし』だけど、わが子には『賛成』」と答えた人が11人いたのだ。集まった回答を見ても、頭ごなしに否定するばかりではなく、“いじめや深刻なコンプレックスが解消されるなら”と葛藤する親の姿が浮き彫りになっている。

 年代別で見るとそれほど大きな差はないものの、40代だけは「一般論としてはあり・ややあり」の割合が31.2%と、唯一3割を超えた。一方で、アンケート対象ではもっとも年齢層が上で保守的に思われた50代が、「わが子なら賛成・やや賛成」と答えた割合が26.7%と、全年代でトップという意外な結果になった。

 そこで、実際に寄せられた声をいくつか紹介する。まずは「反対・やや反対」の声から。

「親への冒涜であり絶対に許さない。もししたら親子の縁を切るレベル」(35歳・男性・京都府)

「親として、体にメスを入れる行為には反対。どうしてもやりたいのなら、自分の金で、自己責任でやること」(50歳・男性・奈良県)

「整形しただけで人生うまく行くほど甘くない、ということこそ、子どもに教えるべき」(46歳・男性・東京都)

「まだ成長途中である子どものうちに整形すると、何かしら不具合が起こるのではないかという懸念があるので、大人になってからのほうが望ましい」(45歳・女性・愛知県)

 続いて、「賛成・やや賛成」の声。

「顔が気になると、性格まで内気になりそうだと思うので賛成派です」(41歳・男性・埼玉県)

「人は顔じゃないと綺麗事を言いますが、実際は顔で決まることも多い。可愛い子やイケメンがモテるのは当たり前だし、ブスだといじめられることもある。整形で幸せになれるなら大いに賛成です」(58歳・女性・宮城県)

「二重整形など、あまり大手術になるものでなければ、本人が前向きな気持ちになれるならよいと思う」(53歳・女性・茨城県)

「本人の話をしっかり聞く。どう感じどう悩んでいるのか、その上で客観的に見て賛成なら受けさせる。病院選びを含め、全て相談に乗って、リスクも一緒に理解する」(55歳・女性・大阪府)

 断固として反対という意見も根強くあるが、必ずしも白黒ハッキリ割り切れるものではないようだ。親たちが悩む背景には、成長期の身体へのリスクや、一時的なブームに流されていないかという不安があるようだ。東京イセアクリニックの患者統計では、2015年から2020年にかけて10代の来院者数が4倍に増加。また2021年に8〜15歳の女子200人を対象に行われた同クリニックの調査でも、小学生の2割、中学生の約4割が「将来、プチ整形をしてみたい」と答えており、美容整形への関心が低年齢層にも広がっている様子がうかがえる。

 では、そもそもなぜ、ここまで子どもたちの間で整形願望が高まっているのだろうか。

「普通」の基準が底上げされたSNS時代

「最も大きな要因は、SNSの普及によって、子どもたちが『理想の顔』を目にする機会が飛躍的に増えたことです」

 そう指摘するのは、子どもの容姿に対する意識や心理に詳しく『きれいになりたい病』などの著書がある東京未来大学こども心理学部の大村美菜子先生だ。

「昔は芸能人やモデルが憧れの対象でしたが、現在は同年代のインフルエンサーや友人の加工写真が日常的に流れてきます。そのため、『普通』の基準そのものが高くなり、自分の容姿に不満を抱きやすい環境になっています。実際、小学生を対象に行った調査では、女子の約8割、男子の約7割が自分の容姿を気にしており、多くの子どもが容姿に関する嫌な経験をしたことがある、と回答しています」(大村先生、以下同)

 昔も容姿に悩む子どもはいたが、今はSNSの普及で「常に比較される環境」にある点が大きく異なるという。

「さらに、整形は特別なことではないという認識もSNSの影響で広がっています。心理的なハードルが下がったことで、悩みを解決する手軽な手段の一つとして整形を考える子どもが増えているように感じます」

 特に容姿を気にする子どもからは、「自分の顔が嫌い」「SNSに顔を載せたくない」という切実な悩みも目立つという。自己評価の低さと同時に、他者との比較が強く影響しているとみられる。比較対象が「加工後の自分」というケースも。

「加工した自分の顔が理想像となり、それに近づきたいという思いを抱くケースも少なくありません。加工アプリ自体が理想の基準となり、現実の自分とのギャップに悩む若者も見られます」

子どもの整形には心理的なリスクも

 アンケートでも「成長期の手術への不安(約22人)」や「大人になってからやるべき(約25人)」という親の慎重な意見が多く見られたが、大村先生も未成年の整形には身体的・心理的なリスクが伴うと注意を促す。

「身体的には、成長の途中で顔や身体のバランスが変化する可能性があります。そのため、将来的に再手術が必要になることもあります」

 さらに深刻なのが、心理的なリスクだ。

「悩みの根本原因が、自己評価の低さや他人との比較にある場合、整形をしてパーツを変えても満足感が長続きしないことがあります。『ここを直したら、次はあそこが気になる』と終わりのない泥沼に陥るケースもあり、特に醜形恐怖の傾向が強い場合には要注意です。未成年に対しては、外見だけでなく、なぜそこまで苦しいのかという心理面の支援が不可欠です」

 もしある日、わが子から「整形したい」と打ち明けられたら、親はどう対応するのが正解なのだろうか。専門家が「絶対に避けてほしい」と語るのは、「絶対ダメ」と頭ごなしに否定することと、「いいよ」と簡単に同意することの両極端な対応だという。

「最初に大切なのは、『どうしてそう思ったの?』『何が一番つらいの?』と理由を丁寧に聴くことです。整形そのものの是非を議論する前に、何が子どもをそこまで追い詰めているのかを理解する姿勢が重要になります」

 単なる一時的なブームや憧れなのか、それとも深刻な心のSOSなのか……。それを見極める手がかりとして、大村先生は以下のポイントをチェックしてほしいとアドバイスする。

 ・いつ頃から悩んでいるのか
 ・誰かに容姿について嫌なことを言われた経験があるか
 ・学校生活や友人関係に支障が出ているか
 ・写真を極端に嫌がったり、鏡ばかり見ていたり(あるいは全く見ない)して、生活に支障が出ていないか

 これらを確認し、いじめや深刻なコンプレックスで限界に達している場合は、必要に応じて学校やカウンセラー、医療機関などの第三者に相談しながら一緒に考えていくことが望ましいという。

容姿だけに頼らない「自己肯定感」の育て方

 整形さえすれば幸せになれる、と期待する子どもに対し、親はどのようにアプローチすればいいのだろうか。

「親御さんには、結果や見た目ではなく、その子自身の行動や努力、人柄を認める関わりを積み重ねてほしいですね。『今日も頑張っていたね』『友達に優しくできたね』など、具体的に認めることが、容姿だけに自分の価値を求めない土台になります」

 また、SNSとの付き合い方についても家庭内で話し合い、「SNSの写真は加工されていることも多い」「現実とは違う一面がある」といったメディアリテラシーを育むことが欠かせない。

 子どもの「整形したい」という言葉の裏には、「ありのままの自分を受け入れてほしい」「苦しみを分かってほしい」という切実なメッセージが隠れていることがある。まずはその苦しみに耳を傾け、「そのままのあなたに価値がある」と家庭の中で伝え続けることが、子どもをルッキズムの呪縛から守る第一歩といえそうだ。

取材・文/荒木睦美

デイリー新潮編集部