ワラビーズ相手に改めて露呈した「弱点」…4強進出を目指すラグビー日本代表が克服すべき課題とは

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伊藤はこの試合で先制のトライを挙げた(C)産経新聞社

 8月8日にラグビー日本代表(以下ジャパン)とオーストラリア代表(以下ワラビーズ)とのテストマッチ第1戦が大阪花園ラグビー場で行われ、ジャパンは32−35で敗れた。両代表の対戦は8度目で、ジャパンはいまだに勝利を挙げられていない。

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 対戦前の世界ランキングではジャパンが10位、ワラビーズ8位と、2019年にジャパンが6位、ワラビーズが7位となって以来、もっとも接近した状態での対戦となった。ジャパンとしては直近2試合戦った、アイルランドフランスに比べれば勝つのに「手頃」な相手だったし、2027年のW杯決勝トーナメントで当たる可能性の高いワラビーズに「警戒心」を与えられるいい機会でもあった。

 しかし、結果は32−35の敗戦。対戦史上最小得点差であり、ジャパンに対する警戒心を多少なりとも高めることのできた惜敗ではあるが、ワラビーズはジャパンの弱点を徹底的に突くという「勝利の方程式」を持っており、それをしつこく実現された上での敗戦だった。

 ジャパンの主な弱点として挙げられるのは下記の3点だ。

1.素早い球捌きでアタックをしかけても、強力なペネトレーターがいないため、ゲインラインを切れないまま、ただ球を回しているだけ、という攻撃になりがち。懐深く守ればスティールのチャンスが増え、また反則の確率も高くなる。


2.接点前のコリジョンで力負けし、スムーズな球出しを許したり接点自体を押し込まれるシーンが多々見られる。ゴール前までボールを持ち込んだら、フィジカルの強いプレーヤーにどんどんサイドを突かせるか、あるいはモールでゴリゴリと押し込めばトライに繋がることが多い。


3.フィジカルに勝るプレーヤーにどうしても空中での競り合いで力負けする可能性が高いので、相手は積極的にコンテストキックを蹴ってくるし、ジャパンのキックをキャッチしてからの逆襲がチャンスになることも多い。

 この試合、1.に関しては、開始早々SO伊藤龍之介が鋭くワラビーズDFラインの内側を切り裂いてトライを奪い「内側さえ抑えておけば前進できない」というワラビーズの意識に風穴を開け、その後のディフェンスを混乱させる事に成功した。ジャパンが奪った3本目のトライは、内側に注意を集中させていたDFのギャップをついた右WTB植田和磨のライン参加が奏功した。

 2.の弱点はこの試合の「致命傷」となった。フランス戦で蹂躙されたモールに関しては、網走合宿の成果か、改善は見られたように思う。しかし、特にトライライン間際のコリジョンの場面では明らかに力負けしていた。真正面からぶち当たりに行っても押し負けてしまう現状は選手個々人の努力では如何ともし難い。素早いリサイクルで個対多数という状況を作って対抗するとともに、敵にトライライン前ピックゴーというシチェーションを極力作らせないようにする戦略の練り直しも必要となるだろう。

 3.に関してはこの試合では重大な破綻を生じさせる場面は見られなかったが、中盤の接点からのSHのキックはことごとく相手にボールを確保され、攻撃権を渡す結果となった。ここ数試合を鑑みてもSHからのキックは少なからず相手ボールとなってしまっている。この戦法についても再考の余地があるように思うし、デイフェンス時においては一時期採用していた、FW第3列の選手にキックの競り合いを任せるという対策の再採用もありうるのではないか。

 この試合、セットプレーはほぼ互角だったし、ポゼッション、テリトリーともにジャパンの方が上回っていた。暑さのせいもあって、ワラビーズはハンドリングエラーも多かったし、反則で20分間も一人少ない状態での戦いを余儀なくされた。それでもジャパンが勝ち切れなかったのは、強力なフィジカルと、そのアドバンテージを活かし切る戦法、そして得点すべき時には確実に得点する勝負勘がワラビーズにあったからだ。この試合で見えた差を8月15日の第2戦までに埋めることができるのか。1週間では改善は難しいかもしれないが、来年のW杯までには是非とも埋めて欲しいものだ。

[文:江良与一]