ほぼ毎日のように猛暑日が続いている。雲研究者の荒木健太郎さんは「ここまで暑いと、もはや災害級だ。屋外はもちろん室内でも命を守るための行動をとってほしい」という――。

※本稿は、荒木健太郎『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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熱中症による死者が増えている

夏の暑さがひどくなっています。地球温暖化の影響で、日本では最高気温が35℃以上の猛暑日が増えており、熱中症による死者が年間千人超の年も。猛暑は災害と考え、適切な暑さ対策をする必要があります。

暑さ対策の基本は、暑さを避けることです。涼しい服装や日傘の使用、外では日陰を歩くことも有効です。また、暑かったら我慢をせずに冷房を使いましょう。暑さを我慢すると命が危険です。こまめな水分補給、汗をかいたら塩分補給も。最低気温が25℃ 以上の熱帯夜では、冷房を朝までつけっぱなしにして、トイレに起きたら水分補給を。日ごろの体調管理も大切です。

本来は、暑くなる前から備えたほうがよりいいでしょう。暑くなる2週間以上前から軽い運動やお風呂で湯船に浸かることで、体が暑さに慣れて熱中症になりにくくなります(暑熱順化)。エアコンの点検や清掃もお早めに。温暖化で今後もさらに暑さが深刻化すると考えられています。暑さへの備えと対策を確実に行いましょう。

『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)より

■そもそも熱中症はどういうものか

さて、真夏には「熱中症で何名が救急搬送された」というニュースをよく見かけます。そもそも、熱中症とは何なのでしょうか。

熱中症は、高温多湿な環境に体が合わずに起こる様々な症状の総称で、最悪の場合は命を落としたり、重大な後遺症が残ったりすることがあります。どんなに屈強な人でも、暑さには耐えられません。熱中症を疑う症状として、軽症ではめまいや筋肉痛、手足のしびれがあり、このようなときは涼しい場所で体を冷やすことと水分補給が必要です。中等症になると頭痛や吐き気、嘔吐などが見られるので、病院で受診を。重症では異常な高体温や発汗、まったく汗が出なくなる、呼びかけても答えないなどが起こり、すぐに救急搬送が必要です。

とくに高齢者と小さな子どもは体温調節がうまくできないので、暑い日には気にかけてあげましょう。熱中症では最初の対応によって命が左右されることがあります。熱中症のサインを見逃さず、もし症状が見られたらすぐに対処しましょう。

『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)より

■35度以上でのハンディファンは危険

暑さ対策のグッズとして、手で持って送風できるハンディファンがよく使われています。しかし、ハンディファンだけを気温35℃以上のときに使うと逆に危険です。

私たちは暑さを感じると汗をかいて、汗が蒸発するときの気化熱で体温を下げようとします。しかしハンディファンだけだと、体の表面の温度は下がっても体内の温度を下げる効果が大きくなく、体温調整を十分にできません。気温が35℃以上では送風される空気そのものが熱いため、温風をあて続けると熱中症の危険度が高まるのです。

ハンディファンは、首元にぬれたタオルやハンカチを巻いて使うと効果的です。携帯用のスプレーボトルに水を入れておいて、首や顔に水をかけてから使うのもおすすめです。

『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)より

ほかに暑さ対策のグッズとして、首につけるアイスリングや、体温を下げるシャーベット状の飲み物のアイススラリーも。冷えたペットボトルを握って手を冷やすのも暑さ対策に有効です。好みのグッズを探して、暑さ対策に活用しましょう。

『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)より

■子どもが暑い車内に取り残される事故

また、夏には子どもが自動車のなかに取り残され、熱中症で亡くなるという悲しい事故が何度も起こっています。車内の温度は冷房が切れると短時間で急上昇し、熱中症の危険度が高まります。

荒木健太郎『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)

もしも夏に車内に取り残されたらどうしたらいいでしょうか。まず、クラクションを鳴らして自分が車内にいることをまわりに知らせることが大切です。子どもの力ではクラクションを鳴らしにくいこともあるので、水筒の底で押したり、ハンドルを両手で握ってお尻で押したりして、助けを呼ぶ方法を、子どもと一緒に練習しましょう。

車内への子どもの置き去りは、大人の焦りや疲れ、やることの多いとき、普段と違う行動をするときなどに起こりやすく、誰にでも起こりうることです。「自分は絶対に大丈夫」と思わずに、貴重品やカバンを子どものそばに置いたり、安全装置を導入したりするなど、子どもの命を守るために対策が必要です。これを読んだみなさんは、ぜひ対策を話し合ってみてください。

■「暑さ指数」と気をつけるべきこと

最後に、熱中症の危険度の目安に、湿度や日射、気温などをもとに計算した暑さ指数が使われています。どのくらいの暑さ指数で、何に気をつけたらいいのでしょうか。

暑さ指数が28以上では激しい運動は中止で、31以上では運動は原則中止が推奨されます。暑さ指数33以上では熱中症の危険度が極めて高く、このようなときは熱中症警戒アラートが発表されます。外出はなるべく控え、冷房を使用して水分補給するなど、命を守る暑さ対策が必要な状況です。

『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)より

また、都道府県内のほぼすべての地点で翌日の暑さ指数の予測値が35に達する場合などには熱中症特別警戒アラートが発表され、過去にないほど危険な暑さになることが伝えられます。

暑さ指数は、環境省ウェブサイト「熱中症予防情報サイト」で誰でも確認できます。そのほか、気象庁「天気分布予報」で翌日までの地域ごとの最高気温予報や、「早期天候情報」で少し先の高温の可能性もわかります。暑さに関する情報をうまく使って、災害級の猛暑から身を守りましょう。

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荒木 健太郎(あらき・けんたろう)
雲研究者、気象庁気象研究所主任研究官、学術博士
1984年生まれ。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために災害をもたらす雲のしくみを研究している。映画『天気の子』(新海誠監督)気象監修、NHK『おかえりモネ』気象資料提供。著書に『雲を愛する技術』(光文社)、『世界でいちばん素敵な雲の教室』(三才ブックス)、『雲の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)、『せきらんうんのいっしょう』(ジャムハウス)など多数。
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(雲研究者、気象庁気象研究所主任研究官、学術博士 荒木 健太郎)