テレビ信州

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特集は、8月9日に投開票される県知事選挙。いまの信州が抱える県政の課題を伝えるシリーズ、2回目は、各地で「観光」に携わる人たちの現場の声です。

夏休み真っただ中の国宝松本城。観光客でにぎわいを見せていました。

静岡から
「お城が好きで、彼が来たいと言ったので(来ました)」

カナダから
「本当に素晴らしい!まだ中に入っていませんが、今まで日本で見た中で一番感動しています」

松本市を訪れる観光客は、去年1年間で496万人余りとコロナ禍前の水準に回復。中でも、外国人の宿泊者数は、円安の影響などから39万人余りと、過去最高を更新しています。

松本市の中心市街地から車で15分ほどの「浅間温泉」。

富士乃湯 二木伸次代表
「インバウンドに関してはやっぱり(松本)駅周辺に集中しているというのが、それを郊外の温泉地にどうやって引っ張っていくのかという部分が最大の問題点で」

創業から今年で139年を迎えた旅館「富士乃湯」の6代目、二木伸次さんです。去年、市内の外国人宿泊者のうち、浅間温泉・横田温泉エリアで宿泊した人の割合は、わずか2.9%にとどまりました。

二木さんは、外国人でも食べやすい食事を検討したり、近くの4つの温泉地と連携した「松本温泉郷」構想を掲げたりして、“温泉地”としてのPRにも積極的に取り組んでいます。

また、観光振興を巡って注視しているのが、今年6月に県内で導入された「宿泊税」です。観光地の整備などを目的に、食事代を除いた素泊まり料金が1泊6000円以上の宿泊に200円が課されます。

松本市では、独自に宿泊税を課していて、開始から3年間は100円を徴収。その収入見込みは年間、1億2694万円にもなります。

富士乃湯 二木伸次代表
「県がやりたいこと、松本市がやりたいこと、私は浅間温泉なので、浅間温泉としてやりたいことそれを賄うとするととても足りない」

一方で、利用者側の負担についても配慮が必要と考える二木さん。宿泊税の活用については、県内各地の実情を捉え、隅々まで行き渡ることを期待しています。

富士乃湯 二木伸次代表
「やっぱり二次交通の部分というのが大切なので、浅間温泉はまだバスが若干走ってはいますけど、山奥の宿泊施設とかやっぱりバスがない部分があったりとか、充実していないエリアもあるので、そういうところにもしっかりと目を向けていただきたい」

御嶽山を望む木曽郡王滝村。2014年の御嶽山噴火、そしてコロナ禍。観光客は減少し、村の産業にも打撃を与えていました。

お山食堂 家高里加子さん
「ここも今はやっていない宿」

そんな中、再び、村の観光を盛り上げようと、新たな取り組みが始まっています。

木曽郡王滝村。標高1680メートルの地点には、1軒の食堂があります。店の名は、お山食堂。

地元出身の家高里加子さんが切り盛りしています。

お山食堂 家高里加子さん
「ほとんど長野県産の野菜を使っている」

実はこの場所、冬は御嶽スキー場のレストランとして営業している場所。
冬以外もにぎわいを呼び込みたいと、今年4月から、グリーンシーズンの営業を始めました。

実は、家高さんはスキー場の支配人を務めていて、かつて旅館で腕を振るっていた家高さんの母、知実さんが調理を担当しています。

年々、レベルが上がっているスキー場で提供される食事、通称「ゲレ食」。今年2月には、県内23のスキー場から40のメニューがエントリーし、「ゲレ食バトル」が開かれました。

そこで1位と2位を獲得したのが、御嶽スキー場の「ゲレ食」でした。「ゲレ食バトル」で1位に輝いた「味噌鍋定食」。王滝村の消防団出初式で振る舞われてきた伝統の鍋でこく深いみそと、具だくさんのスープが人気の一品です。

岐阜から
「暑い時に熱いものを食べようと思って。ゲレ食ではクオリティー(質)が高い」
ゲレ食バトル2位で、この食堂では人気ナンバー1という、山賊焼き定食。

愛知から
「柔らかくてビックリしている。ジューシーですね」

かつて王滝村は、冬のスキー場に頼った観光でグリーンシーズンに力を入れ始めたのは、最近のことです。3年前、スキー場にはモーターサイクルのオフロードコースを整備。

さらに村内にある2か所のキャンプ場も運営していて、特に夏休みのこの時季は、予約でいっぱいになる日も多くなってきています。

岐阜から
「サイクリングで上れる(標高)2000メートル超えが日本で数か所しかなくてここが1つなのでコンプリート(完走)しようと」

ただ…。

御嶽スキー場支配人 家高里加子さん
「ここも今はやっていない宿。ここも昔やっていたんですけど、(今は)やっていない。コロナとかあったりして、結局うちも実家が旅館だったが、やめちゃった」

2013年、王滝村を訪れた観光客は32万人を超えていました。しかし、2014年に御嶽山が噴火し、一気に、3分の1ほどまで減りました。さらにそこに追い打ちをかけたのが、新型コロナの感染拡大。2021年には、8万人台まで減少しました。

観光業から離れていく地元の姿に歯止めをかけたいと家高さんは今、年間を通した観光振興に力を入れています。これまで、噴火やコロナなど厳しい状況が続いていましたが、明るいニュースもあります。今年4月に御嶽山が国定公園に指定されました。これは、日本だけでなく、海外にもPRするチャンスだと捉えていて、県の観光政策にも注目しています。

御嶽スキー場支配人 家高里加子さん
「旅行会社の商談会に行ったが、まだ御嶽山が知られていなくて、山を歩く御嶽古道の整備だったり、お手洗いがないので、(県の政策で)お客さんを迎えられる姿勢を見せていければいい」

■各候補の主張■
コロナ禍を乗り越え、新たなステージに向かっている長野県。知事選の候補者が見据える「観光の姿」とは。

<観光振興について>
阿部守一候補(無所属・現)
「ただ今の例えばインバウンドの皆さんの入り込み状況を見ると、かなり地域的に偏りがありますので、そういう意味では長野県全域に観光客を呼び込む仕掛けというのが必要だと思っています。加えて長野県の観光は、やはり大都市部から近いというところに優位性があります。このことは、これからもしっかり生かしていかなければいけませんが、一方でやはり滞在型あるいは高付加価値化、こうしたことを目指していかなければいけないと思っています」

武田良介候補(無所属・新)
「インバウンド需要がある中で固定資産税が上がったりだとか、局面的には地域と調和しかねる部分が起こっているということも、これもある意味弱点なのかもしれません。自分たちの観光地の計画というものをしっかり立案していくということが弱点を克服していく大きな力になるんじゃないかなというふうに思います」