テレビ信州

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大根のような作物…。この作物の生産に情熱を注ぐ、長野市の男性を取材しました。

きれいに盛り付けられた色鮮やかな和菓子。これ、鯛ではなく、“鯉焼き”です。

国宝・善光寺にほど近い、長野市東之門町で菓子店「藤田九衛門商店」を営む藤田治さん(51)。

海のない信州では、鯛よりも鯉に親しみがあることから、この鯉焼きを看板商品にした店を2013年に始めました。そんな、藤田さんが目指している鯉焼きの姿というのが…。

藤田治さん
「生地の小麦粉が長野県産、あんこの花豆も長野県産、砂糖だけがどうしても長野県で作っていなかった」

藤田さんは、長野県産の食材にこだわった鯉焼きを目指していましたが、砂糖だけは県内で生産されておらず、県外産に頼らざるを得ませんでした。

砂糖の原料としては、沖縄のサトウキビなどが有名ですが、ある時、藤田さんが出合ったのが、北海道で栽培されていた「てんさい」でした。

てんさいは、別名「砂糖大根」とも呼ばれる“砂糖”の原料。

藤田さん
「北海道と年間平均気温が同じ場所が長野県にあるので、北海道で出来るんだったら、長野でも出来ないかと思って、チャレンジしてみました」

藤田さんは、この「てんさい」の生産に力を注ぐことにしました。

5年前に北海道で栽培方法を学び、沖縄や高知で砂糖作りも経験してきました。
最初は、県内での試験栽培からスタートしましたが、今では東北信地域を中心に、15か所の契約農家とともに栽培を進めています。

藤田さん
「弱火で焦がさないように煮詰めると固まらない。強火でやると焦げて飴になる。ここっていうところで止めないと、砂糖にならない」

今年6月には、信州純てんさい糖として商品化にも成功しました。

藤田さん
「やっぱりコクとかうまみが全然(普通の砂糖とは)違いますね」

■東京・銀座■
27日、藤田さんの姿は東京・銀座にありました。

信州産の「てんさい糖」の魅力を多くの人に知ってもらうと、長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」で、イベントを開催。
以前から親交があった料理研究家・横山タカ子さんと、てんさい糖を使った料理を振舞いました。
藤田さんは以前、銀座で日本料理人として働いていた経験があります。この日のメニューは、すべて藤田さんが考えました。

藤田さん
「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。きょうは”信州純てんさい糖”という砂糖がようやくできました。」

てんさい糖を細かくまぶした餅に、割り下にてんさい糖を使ったすき焼き。信州産のてんさい糖が生かされた料理など、合わせて6品が提供されました。

その中には、藤田さんが最もこだわっていた、あの一品も…。苦労して手がけた、信州産のてんさい糖を使った鯉焼き。
初めて、信州産の食材だけで焼き上げた鯉焼きを提供しました。

来場者
「おいしいです。ちょうどいい甘さですね。おしゃれな味」

60代女性
「なんか体にスッと入ってくる感じがしました。やっぱりコクもあるし、おいしく感じました」
藤田さん
「お客さんの顔が見えるんで、反応が分かりやすい。手ごたえはありましたね」

また今回、信州大学工学部の学生たちもイベントに参加しました。

信州でも「てんさい」が作れることを広めたいという藤田さんに、信州大学が声をかけ、今年4月から授業の一環として、一緒に「てんさい」のPR活動に取り組んできました。
イベントでは3Dプリンターでてんさいを再現するなど、工学部ならではの技術を生かした作品が展示され、来場者は料理だけでなく、学生たちの作品も興味深そうに見入っていました。

藤田さん
「やっと形にできたかなと。でも、これがようやくスタートラインというか、狼煙を上げたって感じですね。このいい砂糖をちょっと使いたいっていう人たちのニーズにまずは合わせられるように、頑張っていきたいと思います」

藤田さんの強いこだわりから生まれた、信州産のてんさい糖。

食を通じて信州の魅力を発信したい。目の前には、大きな夢が広がっています。