【全文】期待の若獅子!ライオンズ・篠原響「野球ゲーム『プロスピ』に登場できるよう活躍したいです」
戸惑う程の急成長
「昨年に比べて体重が大きく増えたわけでもないし、フォームも足の上げ方を少し変えたくらいだし……。正直、ここまでの結果が出たことに自分で驚いているくらいです」
そう言ってはにかむ19歳の目の奥からは、たしかな自信が感じ取れた。埼玉西武ライオンズの篠原響(ひびき)が福井工大福井高校時代に記録した最高球速は、148km/h。高校生でも160km/h近い速球を投じる現代野球において、それは傑出した数字ではなく、むしろ緻密な制球力を評価されてのドラフト5位指名だった。
ところが、若獅子はプロ入り後の1年あまりでMax158km/hを記録する剛腕へと成長し、ドジャースの山本由伸(27)以来となる「高卒2年目での20ホールド」をマーク。リリーフエースとしてチーム躍進の原動力となっている。ここまで劇的な変化が起こった理由は、本人にもわからないという。ただ、そのための努力は惜しまなかった。
「プロ1年目の昨季に痛感したのは、シーズンを戦い抜くスタミナがまったく足りていなかったということ。それが悔しくて、もっと成長したい、投手としてのレベルをもう一段階上げたいという一心で、平良海馬さん(26)の自主トレへの同行を志願しました。投手のオフといえば走り込みのイメージがあると思いますが、体幹トレーニングやデータを使った投球練習がメインでした」
ダル直伝のツーシームも
球界屈指の理論派として知られる平良の自主トレには、選手だけでなくトレーナーや野球アナリストなども参加する。そこで、強力な武器を手に入れた。
「中指を立てた状態で投げるチェンジアップ、いわゆるキックチェンジを覚えました。平良さんは使っていない球種ですが、投げ方を教わって、専門家の方に数値を見ていただいたら、『実戦で使えるじゃん』と。真っ直(す)ぐの球速も伸びたので、それだけチェンジアップの球速差、落差が効いてくると思います。
あと、平良さんには『投げる際は骨盤が先に回旋して、後から体幹が回るのがベスト』とアドバイスをいただいて。映像を観たら、僕は昨年からそれができていたみたいなんですが、何も知らないのと、頭で理解して継続するのとでは再現性に差が出る。球速が急激に上がっても、僕の持ち味である制球力が失われていないのは、メカニックが上手くいっているからだと思います」
2月には、サポートメンバーとして参加した侍ジャパンの合宿で、ダルビッシュ有(39)からも指導を受けた。
「ツーシームを伝授していただきました。握り自体は普通ですが、『リリースするときは人差し指にエネルギーをかけるんだ』と伺って、かなり意識するようになりました。前から投げていたスライダーに加えて、キックチェンジ、ツーシームが自在に操れるようになれば、将来、先発登板も楽になるんじゃないかな」
二人の超一流投手に目をかけられた逸材も、まだ19歳。マウンドを降りれば、あどけなさの残る素顔が浮かび上がる。
「寮のメニューに『つけ麺』がある日はテンションが上がります。クオリティが高いんですよ。空き時間はスマホで野球ゲームの『プロ野球スピリッツA』をやっていますね。西武のチームメイトでオーダーを組んでいて、平良さんがメッチャ強いんですよ(笑)。自分が『プロスピA』に登場できるように、しっかり活躍したいです。強いキャラになりたいので、能力値の査定を高くしてもらうために……(笑)。
そのために、最近は登板直前のお菓子はやめました。『自分に甘くならないように』って願掛けというか、プロとしてのケジメとしてガマンしています」
甲子園出場経験はなく、ドラフト下位でプロ入りし、2年目からリリーフとしてフル回転する細身の身長178cm。どの要素をとっても″山本由伸2世″の称号にふさわしい篠原だが、本人は冷静だ。
「そう言っていただけるのはありがたいですが、あまり意識していません。まずはリリーフとして結果を残し、チームを勝利に導くことが僕の役目だと思っています。その上で、将来的には長いイニングを投げ切れる投手になりたい。まず最優秀防御率のタイトルを獲って、その先は……その時に考えます(笑)」
若獅子が世界で戦う侍になる日は、そう遠くないかもしれない。
『FRIDAY』2026年7月31日号より
