YouTubeチャンネル「中島聡のLife is Beautiful」が、「TSMCボトルネックの時代 - サムスンとインテルは好機をつかめるか」を公開した。動画では、世界の半導体製造を独占しつつあるTSMCが直面するボトルネックの現状と、競合であるサムスンやインテルが抱える課題、そして彼らに残された勝機について詳細に解説している。

動画は、AI需要の爆発によりTSMCの生産能力が、ここ2~3年で「無限」からサプライチェーン全体の首を絞める「ボトルネック」へと変化した背景からスタートする。多くの投資家が「TSMCが高いならサムスンやインテルに乗り換えればいい」と考えがちだが、これは根本的な誤解であると指摘。チップの設計は白紙からではなく、各ファウンドリが提供するプロセスデザインキット(PDK)をベースに行われるため、工場を変えることは「チップをゼロから設計し直すこと」を意味するのだ。

さらに、微細化に伴う費用の高騰も足かせとなる。3ナノ世代では回路を焼き付けるフォトマスクの作成だけで1億ドルを超える費用が必要となり、乗り換えはこの巨額の投資をすべて捨ててやり直すに等しい。また、TSMCが長年築き上げた設計ツールや技術のエコシステム、自社チップを作らないからこその「顧客と競合しない信頼」、そして台湾が30年以上かけて培ってきた「お金では買えない知識」が、他社を寄せ付けない強固な「堀」となっていることがアニメーションで分かりやすく示される。

一方で、サムスンはDRAMから先端ロジック、パッケージングまでを一社で完結できる垂直統合の強みを持ち、インテルは代替となる独自のパッケージング技術「EMIB」を持っている。動画は、競合にとっての本当のチャンスはTSMCから市場を奪うことではなく、TSMCがさばききれない「溢れた需要」を獲得することにあると分析。市場の期待と現場の現実のギャップを理解することこそが、今後の半導体業界を見極める鍵であると結論付けた。