【河野 嘉誠】高市総理秘書が自民党青年局LINEに投下した「石破ゴキブリ写真」の衝撃…事務所が火消しに走る理由

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次々と浮上した疑惑に答えないまま、国会の幕引きを迎えた高市総理。しかし、その足元で政権を揺るがしかねない火種が燻っている。

秘書がグループラインで「陰謀論」を展開

〈何故かこのLINEより情報がリークしております〉

高市早苗総理が代表を務める「自由民主党奈良県第二選挙区支部」の青年局は、総理の地元を盛り上げる中核的存在だ。そのライングループ(以下、青年局ライン)に青年局長・A氏がそう投稿したのは7月3日の夕方だった。

国会では暗号資産「SANAE TOKEN(サナエトークン)」や「中傷動画問題」を巡り、高市事務所の木下剛志所長(公設第一秘書)の関与が追及された。渦中の木下氏はその朝、青年局ラインにこうメッセージを寄せていた。

〈日本の為に働けば働く程マスコミは無意味な行動に出る状況で、ハッキング、盗聴等犯罪の上に入手した情報を曲解して記事にしたり、野党に質問させたりしております〉

反省どころか、メディアの犯罪行為という「陰謀論」めいた言説を唱える木下氏に、地元では動揺が広がった。そこで筆者が同日夕方、質問状を送付すると、「青年局ライン」が閉鎖された。事務所が焦って消去した理由とは―。

「他の候補を中傷したり批判したりせず、ひたすら自分の政策を訴えてきた。これは私の政治家としての矜持であり誇りでもございます。私の秘書や事務所も、私の信条に従って活動してくれている」

6月下旬の参院予算委員会でそう語った高市総理。木下氏がサナエトークンの首謀者・松井健氏に他候補のネガティブ情報の拡散を依頼していたのではないか、という疑惑を念頭に行った答弁だ。

「木下さんは約20年も秘書を務める最側近。昨年の自民党総裁選で勝利した時には感極まって涙した『高市信者』でもあります」(地元関係者)

高市総理は「信条を共有する木下氏は、他候補の批判や中傷をするはずがない」と語ったワケだ。しかし、「不都合な物証」が存在する。それが冒頭の「青年局ライン」だ。

木下秘書が投下した「石破ゴキブリ写真」

高市総理にとって2度目となった'24年秋の総裁選のさなか、木下氏はこう投稿した。

〈何故小泉が失速したかですが、本気を感じた先にある『本物』かどうかの判断だと感じています。

石破さんは演説に特殊な能力があるので、実践が無くても、政策に問題があっても本物に見せる力があります〉

総裁選のライバルだった小泉進次郎氏は、「本物の政治家」ではないと宣う。石破茂氏については演説力で「本物」に見せているだけと切り捨てた。

〈最終版は、高市が如何に本物なのかを全面に訴えてまいりたいと思います。『本気』の『本物』高市早苗 関西弁でいいますと『マジ』の『ほんまもん』高市早苗で売っていきましょう!〉

そう続けた木下氏。要は、高市総理だけが「本物の政治家」だと主張したいのだろう。

さらに、〈←のTikTokの投稿を見れば、それがよく分かります〉と述べ、「凡人の意見」というアカウントが同年9月22日にアップしたショート動画を共有。高市総理のHPには「数え切れないほどの実績が記載されている」一方、小泉氏は「(環境相時代の)レジ袋有料化」くらいで、石破氏は「実績が見当たらない」という内容だ。同アカウントは総裁選中、11本の「高市応援動画」を投稿していた。

この年の総裁選で、木下氏は高市総理と国会議員の調整役を担うなどしたが、高市総理は決選投票で石破氏に敗北。その後の石破政権を木下氏は快く見ていなかったようだ。

「びっくりしたのが『石破ゴキブリ写真』です。当時の石破総理や、森山𥙿幹事長、岩屋毅外相らの粘土細工の似顔絵が、ゴキブリに食べられているイメージ画像を木下氏がいきなり投稿した。グロテスクで、さすがにこれはどうなのか」(高市事務所関係者)

かように「青年局ライン」には、渦中の総理秘書による他候補への「批判」や「中傷」が克明に記録されていた。焦って事務所が消去したのは、それが一因かもしれない。

【後編を読む】高市早苗応援団」に政治資金規正法違反の疑い…高額な「サナエグッズ」を売りさばく謎の団体の正体

かわの・よしのぶ/'91年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、『サンデー毎日』『週刊文春』の記者を経てフリーに。主に政治を取材している

「週刊現代」2026年8月3日号より

【つづきを読む】「高市早苗応援団」に政治資金規正法違反の疑い…高額な「サナエグッズ」を売りさばく謎の団体の正体