「意味は?」森保続投会見で拭えなかった違和感「なぜ20年以上前の成功体験を引き合いに出したのか」【日本代表】
その翌24日に開かれた記者会見で、個人的に引っかかったのが、山本昌邦技術委員長による兼任についての説明だった。
「兼任というのはそんな簡単な道ではありません。兼任のメリットも大きくあります。2002年のワールドカップでは、1999年のワールドユースに出場した選手たちが、たった3年で同じ監督のもとで鍛え上げられ、ワールドカップの舞台に立ちました。このくらいのスピード感を持って準備していかないと、ワールドカップで頂点には近づけないと思っています」
ただ、20年以上前の成功例を、現在の代表強化におけるモデルとして持ち出すことには、少なからず違和感が残った。
当時と現在では、日本代表を取り巻く環境が大きく異なる。海外クラブでプレーする選手が増え、代表活動に充てられる時間は限られている。クラブとの調整や選手のコンディション管理、対戦相手の分析など、大枠で見て代表監督に求められる仕事も、Jリーグ発足当時よりもより複雑かつ専門的になっているはずだ。
そうした環境の変化を踏まえても、兼任によって生じる負担やリスクを組織としてどのように補うのか。山本技術委員長の発言からは、その判断を裏付ける現代的な根拠や具体策までは十分に読み取れなかった。
もちろん、同じ監督が複数のカテゴリーを見ることで、チームコンセプトを共有しやすくなり、若い選手をA代表へ引き上げやすくなるメリットはあるだろう。世代間の連携を強め、限られた時間でチームを成長させるという狙いも分かる。
それでも、「過去に成功したから今回も」という説明だけでは、拭いきれない疑問がある。
日本サッカーはこの20年余りで進歩した。ただし、前に進んでいるのは日本だけではない。各国も強化の方法をアップデートし、世界の競争はさらに激しくなっている。北中米ワールドカップで日本がベスト32にとどまった現実を踏まえれば、過去の成功体験を再現しようとするだけで、世界の頂点に近づけるとは限らない。
必要なのは、当時の方法論をそのままなぞることではなく、現在の環境に合わせて再構築することではないか。
森保監督もやった兼任という決断そのものを否定したいわけではない。大岩監督の手腕に疑問を呈したいわけでもない。ただ、「なぜ今、兼任なのか」を過去の成功例だけでなく、現代サッカーの視点から、より具体的に示す必要があったのではないか。
今回の発表に覚えた違和感の正体は、そこにある。
個人的には、ワールドカップで躍進したスイスを見本にその国から強化のメソッドを学べきと考えている。そのために、無理を承知でもムヤト・ヤキン監督にオファーを出してもいい。日本人指揮官で限界が来たのなら、改めて外国人監督の招聘を視野に入れる。そうした考えを持つべきではないか。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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