コスメ 売り場の争奪戦が激化。顧客を呼び込む「店舗の新しい生き残り策」とは

記事のポイント
アーバンアウトフィッターズは、新興ブランドを厳選する「発見型」ビューティー売り場で若年層の獲得を狙っている。
ターゲットやウォルマート、Amazonも品ぞろえを拡充しており、総合小売各社でビューティー強化が加速している。
コティはグッチビューティーのライセンスを前倒しで手放し、負債圧縮と事業再建を優先する戦略へとかじを切った。
2025年9月、13歳のココ・グランダーソンがスキンケアブランド「イエスデイ(Yes Day)」を立ち上げ、拡大を続けるZ世代、アルファ世代市場を明確に狙うビューティーブランドの仲間入りを果たした。
アーバンアウトフィッターズがビューティー強化に注力する理由
7月14日、イエスデイは米国内60店舗のアーバンアウトフィッターズとオンラインで発売された。保湿剤やクレンザーといった若年層向けの手頃なスキンケア製品をそろえた同ラインは、ビューティーの品揃えを拡大している若者志向の同小売にとって魅力的だった。
「我々はユースカルチャーに本気で注力している。若い人たちの買い物、発見、エンゲージメントに向けて、あらゆることを本当に最適化しようとしている。ビューティーはその大きな一部だと考えている」と、アーバンアウトフィッターズの非アパレル部門マーチャンダイジング責任者であるカレン・ブッカー氏は語った。
アーバンアウトフィッターズによると、同社の「UOインサイダー(UO Insiders)」会員は平均して週に28個のビューティー製品を使用しているという。同小売はそうしたオーディエンスによりよく応えるためにビューティーの品揃えを多様化させることをめざしており、直近の追加としては2026年4月のソル・デ・ジャネイロ(Sol De Janeiro)のボディミスト導入が挙げられる。
とはいえ、ビューティーはアパレルやホームデコも扱うアーバンアウトフィッターズの提供品目のなかのひとつのピースにすぎない。しかし同小売は、より厳選されたビューティーへのアプローチによって、セフォラ(Sephora)やアルタ(Ulta)のような大手ビューティー小売では埋もれてしまいかねないブランドにとって、魅力的な販売パートナーとなることを期待している。
「我々がビューティーの主要な目的地ではないことは自覚している。しかし、オーディエンスがアパレルやほかのアイテムを買い物する際に、便利な存在にはなれる。我々がめざすのは、セフォラやアルタのようにかなり混み合いがちなほかの専門小売では見つけにくいかもしれない新しいものを、彼らが見つけ、発見できる本当の場所になることだ。我々はより厳選された視点に軸足を置こうとしている」とブッカー氏は述べた。
「発見型」戦略でセフォラやアルタとの差別化を図る
ビューティーの提供を拡大しているのはアーバンアウトフィッターズだけではない。2026年1月、ターゲット(Target)は春シーズンに向けて60ブランドにわたる3000点のビューティー製品を追加すると発表した。
一方、ウォルマートは2025年9月以降におよそ60のビューティー・グルーミングブランドを追加し、Amazonはビューティー消費者を取り込もうと専用のビューティーセール期間を拡大している。
セフォラやアルタのようなビューティー専門店は、イベントや創業者の来店を通じて、消費者に自社の豊富な品揃えを知ってもらう手助けをしてきた。
ブッカー氏によれば、アーバンアウトフィッターズもイエスデイ創業者のココ・グランダーソンに来店してもらい発売をプロモーションすることを検討してきたが、イベント開催について確定的な計画はまだないという。
グランダーソンは、ビューティースタット(BeautyStat)創業者でありロード(Rhode)の処方担当でもあるロン・ロビンソンと協力して同ラインを手がけた。しかし、イエスデイの発売にとどまらず、UOのビューティー売り場にはさらなる展開があると彼女は約束する。
「スキンケアは間違いなく我々の重要な柱のひとつだ。我々は消費者の声に耳を傾けてきた。それは彼らにとって非常に重要なものだ。だから確実に、その領域ではさらなる展開がある。フレグランス、とくにボディミストも我々の消費者から強く求められている」と彼女は語った。
「ビューティーの買い物は圧倒されることもあるので、我々はその体験を楽しく前向きな、ただただ心地よいものにしたいと考えている」。
コティがグッチビューティーを前倒しで売却する理由
ケリング(Kering)が10月に自社のビューティーポートフォリオをロレアル(L'Oréal)へ売却する意向を発表した2025年10月の時点では、ケリングのブランド群のうちひとつのピースがまだ欠けていた。
グッチ(Gucci)である。そのビューティーライセンスは2028年まで、ライバルのコングロマリットであるコティ(Coty)が保有していた。
しかし2026年7月、コティはグッチのライセンスを予定より1年前倒しで終了することを、4億ドル(約600億円)と引き換えに発表した。新たな条件のもとで、コティは2027年6月30日までグッチビューティーを運営する。
一方でこの取引は、コティのブランド群にとって避けられない喪失を早めるものだが、他方で経営に苦しむ同コングロマリットに資金注入をもたらすものでもある。
2025年9月、コティはカバーガール(CoverGirl)やリンメル(Rimmel)といったドラッグストア向けコスメブランドの一部を売却する計画を明らかにしていた。しかし、グッチのライセンスを前倒しで終了することで資金注入を得られれば、売上が減少するなかで体制を立て直そうとするコティにとって余裕が生まれるかもしれない。
そしてコティは今、ほかのデザイナービューティーブランドにも気を配らなければならない。2026年5月、同社はかつてLVMH傘下のケンドー(Kendo)ブランドが保有していたマーク ジェイコブス(Marc Jacobs)のビューティーラインを再ローンチしたばかりだ。
「コティにとって、ケリングビューティーとロレアルの取引のあとでは、グッチのライセンスを失うのは時間の問題にすぎなかった。引き渡しの前倒しに合意することで、彼らは35億ドル(約5250億円)を超える純有利子負債を抱えていたバランスシートのレバレッジを引き下げている」と、投資銀行オハナ・アンド・カンパニー(Ohana&Co.)のマネージングパートナーであるアリエル・オハナ氏は語った。
「それで彼らの問題が解決するわけではないが、ほかの資産がまだ買い手を見つけられていないことを考えれば、いくらか時間を稼ぐことにはなるだろう」。
ロレアルにとって、グッチの買収を早めることは、投資からより速く、より安全にリターンを得ることを意味するかもしれない。
「これはロレアルにとって理にかなった動きだ。早期終了に伴う費用の大半を負担するのはロレアルになる。40億ユーロにのぼるケリングビューティーの買収は、ケリングのライセンスファッションブランド、その筆頭であるグッチへの関心に大きく突き動かされたものだった」とオハナ氏は付け加えた。
「コティに支払うことで、ロレアルは移行を加速させており、これは複数の面でリスクを低減する。フレグランスのライセンスをあるライセンシーから別のライセンシーへ引き渡す作業は、ときに厄介になり得るが、ロレアル(とケリング)はそうならないことをまさに確実にしたのだ」。
[原文:Beauty Briefing: Urban Outfitters doubles down on Gen Zalpha beauty, and Coty offloads Gucci ahead of schedule]
Emily Jensen(翻訳、編集:藏西隆介)
