医師のひかつ先生が自身のYouTubeチャンネルで「研修医は医者じゃない?東京女子医大の事件から学ぶ、医療現場の知られざる上下関係と責任の所在。」を公開した。動画では、2014年に東京女子医科大学病院で起きた小児へのプロポフォール投与による死亡事故と、その判決について、医療現場の特殊な構造と責任の所在という観点から独自の考察を語っている。

先日、2歳の男児に禁忌とされている鎮静剤「プロポフォール」を投与し死亡させたとして、元准教授が有罪、元研修医が無罪となった判決が下された。スタッフが動画の冒頭で「ありえなくない?どっちも有罪やろ」と、当初感じた強い違和感を吐露。小児への使用が禁止されている薬を投与し、痛ましい結果を招いたにもかかわらず、なぜ担当した研修医が無罪となったのか。ひかつ先生がその背景にある「研修医」という立場の特殊性について解説を展開する。

ひかつ先生は、研修医が「一人前ではない」研修中の身であることを強調。現場では、上級医の指示が絶対的な力を持っており、当時の研修医がプロポフォールを使用してはいけない薬だと知っていたとしても、「上級医が『やれ』と言ったら、基本やらざるを得ない」と指摘した。監督命令の指揮系統は有罪となった元准教授にあり、研修医は事実上「ボタンを押す仕事」に等しかったと語る。

さらに、2004年に導入された臨床研修制度に触れ、研修医の2年間は「医者なんだけど医者じゃないよ、研修しなさいよって期間」であると説明。国が定めた制度下で、指示に従って業務を行う立場であることを踏まえると、今回の研修医に対する無罪判決は「仕方ない」と結論づけている。

一方で、幼い命が失われたことに対し「本当に痛ましい事件。ご遺族の感情も分かる」と、遺族の悲しみにも深く寄り添う姿勢を見せている。しかし、もしこのケースで研修医を有罪にするならば「初期研修制度そのものを潰さないといけなくなる」と断言。医療界のシステムと個人の責任の境界線を明確に引いた上で、今回の判決は「すごくまともな判決なんじゃないか」と総括し、複雑な医療現場の現実を浮き彫りにした。