W杯連覇を狙うアルゼンチン代表が14日、アトランタ郊外のクラブ施設で準決勝イングランド戦の前日練習を行った。アトランタはラウンド16でエジプト相手に大逆転勝利を飾った相性の良い場所。今大会8ゴールで得点ランキングトップタイのFWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)らが小雨の中で最終調整していた。

 メッシ中心の独特なチームビルディングは大一番を前にしても変わらなかった。

 練習開始前、メッシはいち早くピッチに姿を現すと、MFロドリゴ・デ・パウル(インテル・マイアミ)とベンチで話し込んでいた。その後、デ・パウルらの取材対応が始まると、いったんクラブハウスに撤収。続いて若手選手たちがぞろぞろと姿を見せ、リフティングゲームに興じる一方、ベテラン選手たちはなかなか姿を見せなかった。

 練習開始直前になってようやく、メッシを先頭に8人の選手がピッチに登場した。“弟分”として脇を固めていたのはデ・パウル、DFリサンドロ・マルティネス(マンチェスター・U)、DFニコラス・オタメンディ(ベンフィカ)、DFナウエル・モリーナ(A・マドリー)、DFクリスティアン・ロメロ(トッテナム)、DFニコラス・タグリアフィコ(リヨン)、MFレアンドロ・パレデス(ボカ・ジュニアーズ)。彼らは練習が始まっても同じチームを崩さず、“神の子”を支えるチームづくりが垣間見えた。

 メッシにとってイングランドとの対戦は初めて。直近では2005年11月11日に親善試合を行い、アルゼンチンは2-3で敗れているが、メッシは出場していなかった。その理由は代表キャリアでたった2度しかない出場停止。メッシは同年8月18日、親善試合ハンガリー戦でA代表デビューを飾ったが、出場わずか1分の肘打ち行為で一発退場処分を下されており、この処分がイングランド戦の欠場に影響していたのだ。

 あれから21年、205試合125得点という偉大なキャリアを築いてきたメッシ。ドラマチックな形で実現したイングランド戦はアルゼンチン代表にとっても因縁の対決となる。

 1982年のフォークランド紛争に端を発した両国の緊張関係はサッカー界にも波及しており、86年メキシコW杯ではアルゼンチンがFWディエゴ・マラドーナの“神の手”と“5人抜き”で2-1の勝利を飾り、大きな禍根を残した。続くW杯での対戦となった98年のフランス大会ではMFディエゴ・シメオネへの報復行為でMFデイビッド・ベッカムが一発退場に追い込まれ、2002年の日韓大会ではベッカムがPKを決めてリベンジを達成。今回がW杯では24年ぶりの対戦だ。

 メッシは準々決勝のスイス戦後、現地メディアの試合に「特別な試合になる。彼らは素晴らしいチームで、強豪国だ。このような舞台で対戦できるのは素晴らしいこと」と話した様子。歓喜の初優勝を飾ったカタールW杯から4年、伝説の続きを描き続ける“神の子”メッシの前にサッカーの母国が立ちはだかる。

(取材・文 竹内達也)