「インドア」「ビーチ」二刀流バレーボーラー
水町泰杜インタビュー(中編)

◆水町泰杜・前編>>「二刀流に挑戦する次の世代の子たちが出てきたら......」

 インドアとビーチバレーの二刀流を実現させて、水町泰杜は3シーズン目に臨む。

 ペアを組む黒澤孝太は、明治大学付属中野高校(東京)時代にその才能を見出され、ビーチバレーの世界に飛び込んだ。身長192cmの高さを攻守で生かし、かつインドアではパワフルなアタッカーとして明治大学時代に関東大学リーグの得点王に輝いた実績を持つ。

 水町とは昨年の春からペアを組み、2025年7月の「FISUワールドユニバーシティゲームズ(ドイツ・ライン=ルール)」を見据えて、ともに活動していた。そうして今春からトヨタ自動車に入社。結果的に水町にとっては、ビーチバレーに挑戦してから初めてシーズンを通して戦う日本人選手同士のペアとなった。


水町泰杜は黒澤孝太とのペアでアジア競技大会の出場権を獲得 photo by Kosuke Sakaguchi

 黒澤とのペア結成は、水町自身、望んでいたことでもあった。

「(黒澤)孝太がトヨタ自動車に入ってくるということで、ペアを組めたらいいなとは思っていました。とはいえ、僕からすれば孝太がよければ......が前提にありました。孝太が社会人になってビーチバレー1本で活動するとなった際に、一番心配したのはその点でしたね。

 僕はインドアの期間はペアを組むことができませんし、そのことを孝太がどう思うか。ウルフドッグス名古屋でのシーズンと、ビーチバレーの時期が被る現実もありましたから、場合によっては孝太がほかの選手と組む可能性もありました。

 孝太自身がその形を望むのであれば、そこに対して僕がどうこう言う権利はありません。それはそれで仕方がないことですし、そうなったら僕は単身で海外に行ってもいいなと。

 けれども、孝太が組みたいと言ってくれたので、ならば、このペアでいこう!!となりました」

 聞くに、水町から黒澤本人へ投げかけるようなことはしなかったという。「そこはセンシティブな部分ですから」と言い、そうやって相手の意見を尊重して汲み取る姿勢もまた、水町らしい一面だった。

【世界トップレベルの速いテンポ】

 そうして黒澤とともに始まった2026年のビーチバレーシーズン。さっそく公認大会の第34・35回WaveR杯(兵庫・明石)を制すると、ジャパンツアー2026では第1戦名古屋大会、第2戦グランドスラム・グランフロント大阪大会で連勝を飾る。なお第1戦名古屋大会の成績によって、今秋に日本で開催される「第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)」の日本代表に内定した。

 ペアを組んでシーズンを戦うこと。そこに水町は、これまでと違う感覚を覚えた。

「ペアとの戦い方を焦ることなく構築できるのは新鮮です。それにアジア競技大会の切符を獲れたので、そこに向けて数カ月をかけてペアを磨けるわけですから。そのことへの面白さを感じています。どれくらい自分たちがいけるんだろうって」

 連勝を収めたジャパンツアーでは、このペアならではの強みが存分に発揮された。それはインドアでも水町と黒澤の持ち味だった決定力の高いアタックを縦横無尽に仕掛けていくもので、ジャパンツアーの2戦とも決勝を戦った石島雄介(ゴッツfamilyクラブ)が「今の世界のビーチバレー界のトップレベルで見られるような、速いテンポのスタイル」と評するほどだった。

 加えて、アタッカーとしてふたりが備える素質は、試合中の至るところで垣間見えた。

「3本目(アタック)を得点につなげる能力がふたりとも高いですから、2本目(トス)がある程度乱れたとしてもなんとかなるのは、戦ううえでも大きいと感じています」(水町)

 たとえば第1戦名古屋大会では、ラリー中に水町が2本目──つまりトスを、ジャンプしながらアンダーで上げる場面があった。それも自身の後方へ上げたボールに対して、黒澤がそこへ回り込んで決めたのである。

「あれは本当にうまくいきました。孝太も決めてから、『え!?』みたいな表情を浮かべていましたからね。でも、海外のペアを見ていると、そういうプレーもよくやっているんです」

【相棒・黒澤はワクワクを共有する相手】

 そう振り返った水町は、うれしそうに続ける。

「ポーキー(指先を折り曲げて打つビーチバレー特有のアタック)でセット(トス)するプレーもやってみたい。でも、今の僕たちがポーキーセットを繰り出したら、とんでもないところにボールがいきそうなので、さすがに本番ではできないですが(笑)。

 でも、孝太とは『やりたくない?』とか言って、対人パスの時に、ふとやってみたりしています。やりたいことがあって、できることもどんどん増えていく。そうしてビーチバレーをより楽しみながらできている感覚は強いです」

 そうしたワクワクを共有する相手が、今の水町にとっては黒澤なのである。そのペアと立てた誓いとは──。

「『日本でぶっちぎりたい』です。もう日本では敵なし、と言えるくらいのペアになりたい。『それくらいがおもしろくない!?』とふたりで話しています」

 いずれやってくるインドアの2026-27大同生命SVリーグを前にして、水町にとっては今年のビーチバレーシーズン最後の大会がアジア競技大会になる。そこに向けた数カ月、ふたりは"ぶっちぎる"だけの力をつけるために、修練を積む時間を過ごしているのだった。

(つづく/文中敬称略)

◆水町泰杜・後編>>「僕にとってビーチバレーの試合は、ただただ楽しい時間」


【profile】
水町泰杜(みずまち・たいと)
2001年9月7日生まれ、熊本県山鹿市出身。181cm。ポジションはアウトサイドヒッター。名門・鎮西高では1年時から春高バレー優勝に貢献。進学した早稲田大学でもインカレ連覇を経験し、4年時には主将としてチームを大学4冠に導いた。世代屈指の勝負強さと卓越したレシーブ力を武器に、2023年にウルフドッグス名古屋へ入団。現在はインドアだけでなくビーチバレーとの"二刀流"にも挑戦している。今後の日本バレー界を背負って立つ存在。