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クルマを変える卓越した技術力

「マンディ・エンジニアリング賞」は、自動車産業への卓越した貢献を称える賞だ。エンジン設計者であり、AUTOCAR UK編集部の専属ライターでもあったハリー・マンディ氏にちなんで名付けられたこの賞は、通常、著名なエンジニアに授与される。ルノーのフィリップ・クリーフ氏、日産のデビッド・モス氏、GMA創設者のゴードン・マレー氏らが過去の受賞者に名を連ねている。

【画像】航続距離800km超! 「ノイエ・クラッセ」第1弾の新世代SUV【BMW iX3を詳しく見る】 全34枚

今年は、チームワーク、卓越性、そして将来的な重要性を踏まえ、受賞作としてBMWの「ノイエ・クラッセ」アーキテクチャーを選出した。EVの世界において、有意義な開発と進歩をもたらしつつ、BMWならではの走りを実現しているからだ。


ノイエ・クラッセEVの第1弾となるBMW iX3    AUTOCAR

このEVアーキテクチャーの開発を率いたのは、ノイエ・クラッセの責任者であるマイク・ライヒェルト氏だ。自動車業界にとっては異例のプロジェクトであり、彼にとっても類を見ない挑戦だった。

「2020年、当時のCEOであるオリバー・ツィプセから呼び出され、『iX3だけでなく、ノイエ・クラッセ・ファミリー全体を、初期段階から発売まで率いてくれないか』と依頼されました」とライヒェルト氏は振り返る。

ノイエ・クラッセ・ファミリーは電動SUV『iX3』を皮切りに、セダンの『i3』(電動版3シリーズ)が続き、さらに数多くのモデルが加わる予定だ。

「白紙の状態」からのスタート

ライヒェルト氏は次のように語っている。

「エンジニアのわたしにとって、これほど画期的なものを生み出すチャンスは他にありませんでした。白紙の状態からゼロでスタートしましたが、自動車業界では、それは普通のことではありません。通常は漸進的な開発が行われます。既存のパワートレインの一部を活用し、少しずつ改良を加え、次の世代のクルマにいくつかの革新技術を組み込んでいくのです」


BMWでノイエ・クラッセの開発を主導したマイク・ライヒェルト氏

「ですが、2020年当時、わたし達はテクノロジー、演算能力、ユーザーインターフェースなど、一部の技術が飛躍的な進歩を遂げようとしていると考えました。そこに全力を注ぎ、あらゆる技術を限界まで押し上げ、BMWを未来へと導くことにしたのです」

「『ノイエ・クラッセ』という名称は、BMWの歴史からご存知でしょう」とライヒェルト氏は言う。ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)とは、1962年から1972年にかけて同社が生産したモデルシリーズであり、『1500』セダンを皮切りに、後に『2000』や『E9』、『02』クーペなどが加わった。

この名称を復活させることは、「当時のBMW内部において大きな意味を持つものだった」とライヒェルト氏は語る。「1960年代と同じように、未来に向けてBMWに革命を起こすための第一歩でした。ただし今回は、強固な基盤の上での変革です」

電動化への大きな一歩

この点は重要だ。多くの企業の再構築や成長計画がそうであるように、ノイエ・クラッセは業績不振を受けて打ち出されたものではない。BMWグループは2025年に240万台の車両を生産し、前年比0.5%増を記録。利益は64億3000万ポンド(約1兆3700億円)に達した。製品ラインナップも多様で、ミニが29万台、ロールス・ロイスが5664台、二輪車が20万3000台、そしてBMWの乗用車が216万9739台で、その10台に1台がMモデルだった。また、BMW車の6台に1台がバッテリーEVだった。

ツィプセ前CEOは3月、「ここ数年、BMWは適切な戦略的ポジショニングを採用してきました。そして今日、その恩恵を受けています。厳しい環境下にあっても、方向転換する必要はなく、これまでの方針を維持しつつ、戦略を体系的に実行し続けることができます」と語った。


ノイエ・クラッセのアーキテクチャー    BMW

BMWは電動化の潮流に遅れをとっていたわけではないが、それでも「技術がこれほど革命的な方向へと飛躍したため、(ノイエ・クラッセ・アーキテクチャーを一から設計する)必要があると感じた」のだという。

特にソフトウェアだ。実際、BMWはiX3やその他のノイエ・クラッセEVを「ソフトウェア定義車両(SDV)」と定義している。しかし、それはどういう意味なのだろうか?

(翻訳者注釈:この記事は「後編」へ続きます。)