W杯ノルウェー代表 ハーランド 愛用のヘアゴムはなぜ世界中で完売するのか

記事のポイント
ハーランドが長年愛用するヘアゴムブランド「クネッキ」は、W杯での活躍を追い風に世界的な注目を集めている。
ハーランドとの限定コラボ商品は即完売し、新規SNSフォロワー1万人超獲得、Webサイト流入70%増と大きな販促効果を生んだ。
クネッキは高い機能性と豊富なカラーバリエーションを武器に、若年層や海外市場へファン層を広げている。
サッカーのフィールドでアーリング・ハーランドを見逃すのは難しい。6フィート5インチ(約196センチ)の体格となびくブロンドの髪を持つこのノルウェー代表ストライカーは、ピッチ上で堂々たる存在感を放つ。彼が得点を量産するストライカーであることも、その存在感を際立たせている。
ハーランドはこの2得点を、トレードマークであるオールバックのお団子ヘアで決めた。その髪をまとめていたのは、ノルウェーの鮮やかな赤いユニフォームに合わせたヘアゴムだった。
6月22日には、ノルウェーがセネガルを破ってノックアウトステージ進出を決める試合でさらに2得点を挙げたが、このときはノルウェーのオールブラックのアウェイユニフォームに合わせた黒いヘアゴムを着けていた。
これらのヘアゴム、そして彼がプレミアリーグのマンチェスター・シティでプレーする際に着けているヘアゴムは、すべてある1つの場所からもたらされている。ヘアゴムブランドのクネッキ(Kknekki)だ。
「彼は髪を伸ばしはじめて以来、ずっとクネッキを愛用してきた。本当に、彼にとってこれはパフォーマンスに関わるものなのだ。彼があれだけのプレーをするとき、実際に機能する唯一のヘアゴムだからだ」と、クネッキの親会社であるボンデップ(Bon Dep)でマーケティングマネジャーを務めるヘッダ・ダヴィッドセン氏は語る。
このノルウェーのアクセサリーメーカーは、1987年に韓国で創業されたクネッキの販売権を2015年に取得し、2024年にブランドを完全に買収した。
ワールドカップで世界的人気が加速
母国ノルウェーでは、ハーランドは熱狂的なサッカーファンにとってすでにスーパースターであり、王室に匹敵する有名人だ。
だが、北米開催のワールドカップがハーランドをこれまで以上に大きな舞台へと押し上げたことで、米国や世界中のオーディエンスが、この25歳のストライカーのピッチ内外のスタイルに注目しはじめている。
サッカーファンを魅了するだけでなく、ハーランドはその膨大なバーキン(Birkin)コレクション、ソーシャルメディア上の飾らない素顔、そしてもちろんヘアースタイルのおかげで、ソーシャルメディア上でも話題をさらっている。クネッキもその流れに乗っている。
「我々はたくさんの新しいファンを獲得した」と、ダヴィッドセン氏はブランドの拡大するオーディエンスについて語る。
「いま中国がクネッキに非常に強い関心を寄せているのがわかる。台湾版マリ・クレール(Marie Claire)が、まさに今日、このヘアゴムとハーランドについて投稿しているのを見た」。
ハーランドの父であるアルフ・インゲ・ハーランドもまたノルウェー代表でプレーした選手だが、ハーランド自身は2024年に、クネッキを所有するボンデップに少数株主として出資した。
クネッキのヘアゴムは、60本以上のポリエステル糸を編み込み、リサイクルプラスチック製のビーズを用いて作られており、従来のゴム製ヘアゴムと比べて、髪を傷めることなく高い耐久性を発揮するよう設計されている。
コラボ即完売、広がる「クネッキホリック」
ハーランド以外にも、クネッキの豊富なカラーバリエーションは、熱心なコレクター層の獲得に一役買ってきた。
「13歳くらいから10代半ばから後半までの若い層のなかに、非常にエンゲージメントの高いオーディエンスがいる。彼らは自分たちを『クネッキ・ホリック(Kknekki holics)』と呼んでいる」と、ダヴィッドセン氏は語る。
ワールドカップを目前に控え、クネッキは6月にハーランドとの初のコラボレーションを発表した。これには、ハーランドのスタイルにインスパイアされた8色のカラーコレクションと、ノルウェーの赤・白・青を配した「ヘイア・ノルゲ(Heia Norge)」の4本セットが含まれている。サッカーファンなら、試合中にノルウェーのサポーターが「ヘイア・ノルゲ」、つまり「がんばれノルウェー」と唱和しているのを耳にしたことがあるだろう。
ダヴィッドセン氏によれば、ハーランドのコレクションは発売と同時に完売し、ブランドは1万人を超える新規ソーシャルメディアフォロワーを獲得し、Webサイトのトラフィックを70%増加させたという。
ワールドカップ以前から、ハーランドの髪はサッカーファンのあいだでたびたび話題になってきた。ハーランドは、2023年のプレミアリーグでのアーセナル戦でマンチェスター・シティの一員としてプレーした際、髪を下ろして大きな話題を呼んだ。シティはこの試合に4-1で勝利し、そのシーズンのリーグ優勝を果たした。
クネッキとの協業は、ハーランドが自身の髪を商品の販売に貸し出した初めてのケースではない。このノルウェーのスターは、中東やマレーシアなどの市場で、ユニリーバ(Unilever)のシャンプーブランドであるクリア(Clear)のコマーシャルに出演している。
だが、ワールドカップのおかげでハーランドの世界的な集客力が高まり続けている一方で、母国にとっての彼の価値を金額で表すのは難しい。ダヴィッドセン氏によれば、ノルウェーでハーランドは、サッカーの実力と同じくらいその人柄でも称賛されており、とりわけ彼が、ノルウェー南部で育った小さな農村ブリーネ(Bryne)と強いつながりを保ち続けていることが大きいという。
「彼はほとんど王室と肩を並べる存在だ」と、ダヴィッドセン氏はノルウェーでのハーランドの知名度について語った。
「我々はとても小さな国だから、成功する人が出ると、本当に誇らしく思うし、みんながその人を応援する。だから、私はアーリングを嫌いなノルウェー人にまだ出会ったことがない」
[原文:Meet the company making Erling Haaland's hair ties]
Emily Jensen(翻訳、編集:藏西隆介)
