不動産投資の世界では、「安く買える物件=お得な物件」という等式が成り立つとは限らない。不動産投資アドバイザーの木村洸士氏は、ボロ戸建て・築古物件への安易な参入に警鐘を鳴らしつつ、正しい手順を踏めば少額からでも資産と収入を同時に手にできると語る。
 
木村氏が最初に提示するのは、「不動産投資は買った時点でほぼ決まる」という原則だ。相場より安く仕入れられれば、売却時の利益はほぼ確定に近い。逆に高値掴みをした瞬間、いくらリフォームしても損失は埋まらない。安い物件を見つけたら即購入という姿勢では、修繕費が想定を大幅に上回るリスクが常につきまとう。
 
立地の考え方も、多くの人が持つイメージとは異なる。駅徒歩5分以内という物件は確かに需要があるが、価格が本来の価値を上回りやすく、利回りが低くなる。例えば、木村氏が重視するのは、ファミリー層が「ここなら暮らせる」と感じられる生活圏かどうかだ。小中学校やスーパーが近く、駐車場があれば、駅距離は問題になりにくい。ファミリーは一度入居すると長期間住み続ける傾向があり、賃貸経営として極めて安定した基盤になり得る。
 
修繕費の考え方も独自だ。物件を安く買えた分、リフォームにある程度の費用をかけてもトータルコストを抑えられる。木村氏が推奨するのは、きちんとリフォームしてから貸し出すパターンで、家賃を高めに設定できるだけでなく、売却時にも評価されやすく再現性が高いという。利回りで見た売却価格の計算も、この前提があって初めて成立する。
 
成功の鍵として木村氏が挙げるのは、未公開物件の入手と修繕コスト削減の2点をセットで実践することだ。ポータルサイトに掲載された時点で多数の競合が生まれ、大幅な値引き交渉は困難になる。表に出る前の物件を不動産業者のネットワークから得るには、信頼関係の構築が前提となる。否定的な姿勢や疑い深さは、情報の入口を自ら閉じることになる。
 
「安く買う」だけでは完結しない。どのエリアで、誰に、どんな状態で貸すのか--その一連の判断が積み重なってはじめて、少額投資が長期的な収益に変わる。ボロ戸建てという入口の低さの裏に、意外なほど緻密な設計思想が息づいている。

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