奈良市のカフェ『くるみの木』のオーナーとして知られる石村由起子さん。料理上手の祖母の器づかいや食事の支度を手伝ううちに、自然と美しい器たちに惹かれていったそう。ここでは、サイズに困ることの多い取り皿を選ぶコツと、食卓を彩る布の魅力を紹介します。

※ この記事は『わたしの食器棚』(PHPエディターズ・グループ発刊)より一部抜粋、再構成の上作成しております。

【写真】暮らし上手が愛用する取り皿

取り皿は「だれもが使いやすい安定感」のあるものを

よく、「取り皿にちょうどよいサイズのお皿がほしいのですが、直径何センチくらいのものがよいでしょうか」と質問を受けます。これは、なかなか難しい質問でもあります。

というのも、テーブルに並べる料理の品数によって、取り分ける皿の大きさも変わってくると思うからです。

たとえば、家族が2人から4人で、料理の品数が3品くらいの普段づかいなら、13センチくらいの皿は、取り皿に適したサイズといえます。

清水善行さんの白磁の器は、そんな普段の食事にもちょうどよく、だれもが使いやすい安定感があります。繊細でも無骨でもない、中庸な皿。

ですが、私がお客様をお迎えするときには、5品くらいはどうしても用意してしまいます。これは、もう癖というか、食べさせたい病かもしれません。そうすると、13センチの取り皿では皿を2枚用意しなければならなくなってしまいます。

それではかえって場所もとるし手間なので、少し大きめの取り皿を用意するのが常です。だいたい直径が、15から20cmくらいでしょうか。緑の釉薬のかかった四角の皿は、李英才さんのものです。四方に立ち上がりがあり、盛るスペースも大きいので、とても使いやすいのです。

大人数の来客のときなどは、三谷龍二さんの白漆やブラックウォルナットの皿が大活躍します。なんといっても木ですから、軽いし、少々ぶつけてもそう簡単には欠けてしまうこともありません。もし、4、5品の料理を並べるなら、ぜひ、このサイズの取り皿を試してみてください。

食卓に魔法の布を

若い頃に染織を勉強していたからか、布にはひときわ思い入れがあります。小さな布から大きな布まで、細い1本の糸からできあがっていく。その道のりにとても尊いものを感じ、感動します。

20代の頃から集めてきた多くの布が、食器棚の下の段に重ねてあります。これでもずいぶん人に差し上げたりして、整理してきたつもりでしたが、どうしても手放せないものが、まだまだたくさんあります。

布は、食卓に魔法をかけることができると思っています。左の布は、アジアのもので、右の布は北欧のものですが、同じテーブルでも布を変えるだけでまったく違った空気感が生まれてくるのです。

これらの布の多くは、旅先で求めたものです。こうして並べてみると、行った先々の土地や、訪れた年代もそれぞれなのに、それらが、自分が経験した旅のコラージュのように見えてきて、愛おしくてたまりません。

買ったシチュエーションや値段も様々で、ふらりと立ち寄ったマーケットの露天の店や現地のスーパーで出合った布も混じっています。テーブルに敷き、器をのせたときの風景が想像できると、もう連れて帰らずにはいられなくなってしまうのです。

多くの布が若い頃に買い求めたものですが、いま現在の自分なら、どんな布を買い求めるのだろう? どんなものをいいと思うのか自分自身も知りたい、異国の布を眺めていたら、また、旅に出たくなりました。