寝たきりの父死亡、被告に無罪判決 横浜地裁、殺人と放火の罪「合理的な疑い残る」

マンションの自室に放火して寝たきりの父親=当時(87)=を殺害したとして、殺人と現住建造物等放火などの罪に問われた住居不定、無職の男(61)の裁判員裁判の判決公判が9日、横浜地裁であった。佐藤卓生裁判長は「出火原因が、被告の放火行為以外である可能性を否定できない」と判断し、両罪については無罪(求刑懲役20年)とした。
コンビニで万引をしたとして、併せて起訴された窃盗罪の成立は認め、懲役1年8月、執行猶予4年を言い渡した。
公判で検察側は、少なくとも室内の2カ所から同時出火している点から放火と主張。弁護側は、電気を止められた室内でろうそくを使ったことに伴う失火だったと反論していた。
佐藤裁判長は判決理由で、明かりをとるため被告が室内の複数カ所で火を使った可能性は排除できないと指摘。室内がいわゆる「ごみ屋敷」状態で、心身の変調が被告に認められることからも、「不適切に扱った火がごみなどに燃え移り、複数カ所から出火した可能性は否定できず、放火行為の認定には合理的な疑いが残る」と述べた。
