フルローンやオーバーローンと聞くと、「自己資金ゼロで始められる夢の投資法」と映る人も多いだろう。だが、不動産投資アドバイザーの木村洸士氏はこの認識に鋭くメスを入れる。「うまくいく人とハマってしまう人がいる、まさに諸刃の剣」--木村氏がそう語るように、問題は融資の有無ではなく、何を買うかにある。
 
業者の典型的な営業トークは、「節税になる」「老後の年金代わりになる」といった言葉で彩られている。しかし木村氏は、その裏に潜む構造を整理する。都心のワンルームマンションを例に挙げると、管理費・修繕積立金・固定資産税・空室損失を加味した実質収支は毎月赤字になりやすく、家賃は年数とともに下がり続ける。「今儲かっていますか」という問いに答えられない物件は、老後まで持ち続けても報われない可能性が高い。
 
サブリース契約についても同様だ。家賃保証のように見えて実態は業者が間に入る仕組みであり、本来の賃料より低い金額で契約され、相場に応じてさらに引き下げられることも少なくない。途中解約も容易ではなく、売却時にも敬遠されやすい。木村氏が「自分で経営できるようになることが成功の鉄則」と繰り返す背景には、こうした落とし穴がある。
 
では、フルローン・オーバーローンが本当に武器になるケースとは何か。木村氏は同じ融資条件・同じ購入価格の物件を2つ並べ、利回りの差が収支にどれほど大きな影響を与えるかを比較する。その具体的な数字の開きは、動画の中で丁寧に示されている。
 
重要なのはキャッシュフローが毎月プラスになる物件を選ぶことだ。利益が積み上がれば次の物件へ、さらにその利益で次へという循環が生まれ、資産は加速度的に拡大していく。郊外の中古アパートには「土地」という資産が伴う点も見逃せない。建物が古くなっても土地の価値は下がりにくく、これを繰り返すことで最終的な規模は大きく変わってくる。アフタートークでは、千葉県内の利回り11%弱・約2,500万円の中古アパートをフルローンで取得し、土地だけで約2,000万円相当という事例が紹介されている。
 
フルローン・オーバーローンは使い先を間違えれば毒になる。利益の出る仕組みを正しく理解して選択したとき、はじめてそれは資産形成の速度を引き上げる武器に変わる。

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