アクセサリーは自分を盛り立ててくれるお守りであり、人生の象徴のような存在。指輪でもネックレスでも、これをつけているとなぜか安心するとか、自分に自信をもてるというアクセサリーはありますよね。「じつはフランス人マダムはアクセサリー使いがとても上手」と話すのは、フランス文化研究者・翻訳家のペレ信子さん。フランス人のアクセサリーの選び方や向き合い方についてレポートしていただきました。

フランス人が生まれて最初にもらうアクセサリー

敬虔(けいけん)なカトリックの家庭の子どもたちは、よく金のメダルのネックレスをしています。

【写真】80代フランスマダムの手持ちのアクセサリー

これは生まれて1か月で受ける洗礼式で後見人から贈られたものです。メダルには生まれた日やその子の名前が刻まれています。後見人とは、親が養育できなくなったときに親代わりを務めるために、親の親友や親戚が指定されてなるものです。

今では幼児洗礼式の数が少なくなりましたが、この慣習が強く残っていたときに新生児だった人の多くは自分のメダルをもっていますし、その名残りなのか洗礼式のメダルでなくても金のメダルのネックレスをもっている人は多いのです。

最近では、おしゃれな金のメダルのネックレスがまた人気になってきているようです。

洋服に合わせたファッションジュエリーも人気

洗礼式の金のメダルや、その家に代々伝わる指輪のようなストーリーがある本物のジュエリーを数少なく大切につける、というもち方はフランス人に多く見られます。

と同時に、フランス人のアクセサリー使いで、じつはもっと目を引くものがあります。

それはいわゆるファッションジュエリー。宝石、金銀を使ったものではなくて、プラスチック製や布製の個性的なアクセサリーです。

そのときの服や気分に合わせてつけるアクセサリーで、値段はリーズナブルなもの。その人の雰囲気やスタイルにピッタリ合うアクセサリー使いをしている人は、街を歩いていても目を奪われます。

どこで買ったのかな、もしかして自分でつくったかもしれない、などと想像しながらおしゃれな人を観察するのは楽しいものです。

アクセサリーからは自分の歴史が垣間見える

私のフランス人のおしゃれな80代の友人。彼女はいつも個性的でシックなアクセサリー使いをしています。

迷いのないおしゃれをしているように見える彼女でも、若い頃はいろいろなジュエリーを買ったそう。その多くは結局、飽きてしまって人にあげたとのこと。

今残っているのは、本物のジュエリーもファッションジュエリーも混在しているそうですが、どれも自分にとって大切な人や、人生のある時期を象徴しているのだそうです。

たとえばターコイズのアクセサリーは、昔住んでいたアメリカの思い出。ファッションジュエリーと言える細かいパールのネックレスは、あるアジア人の友人を思い出す品。(写真4枚目)

また洋服のコーディネートを考えない日につける、どんな服にも合う金のネックレスと涙型のペンダントももっていて、それは、もう会えないある友人を思って手に入れたものだそうです。

それぞれの思いを身にまとうためのジュエリーは唯一無二

このところ、フランスでも日本でもいくつかのネックレスの重ねづけが流行っています。

けれど、フランス人が理解できないのは、すでに重ねづけがセットになって売られているネックレス。重ねづけは自分の歴史の重ねだから、ほかの人と同じ重ねにならないはず、という思いがあるそうなんです。