JRT四国放送

写真拡大 (全15枚)

熱戦が繰り広げられている、秋の高校野球県大会。

そんな中、選手ではなく審判員としてグランドに立つ高校生がいます。

県内では初めてとなる、高校生審判員の公式戦デビューを取材しました。

秋の高校野球県大会。

堂々とジャッジするのは、高校生です。

熊代倭さん。

川島高校に通う3年生です。

(クラスメイト)
「元気良くて、みんなに頼られている」
「ラーメンとかお祭りとか大好きで、そのことを語ってくれる楽しそうに」

(高校生審判員・熊代倭さん)
「素晴らしい」

■実は野球部

現在、野球部に所属する熊代さん。

放課後、向かった先は野球部のグラウンド。

彼がするのは、野球ではなく野球の審判。

この日は、1塁塁審のジャッジをひたすら練習していました。

なぜ選手としてではなく、審判員を選んだのでしょうか。

■なぜ審判の道へ?

(高校生審判員・熊代倭さん)
「違う視点で、違う形で野球の携わり方を探したときに、審判があると思って」
「審判だったらグラウンドにもたてるし、自分のタイミングで部活のようなこともできる」

実は、実家が神社の熊代さん。

土日は年中行事などで忙しいため、野球部には入部せず、大好きなお祭りに専念することにしました。

それでも野球に関わりたい、その思いから見出したのが審判員という道でした。

高校野球の審判員には資格は必要ありませんが、県高校野球審判部ではモチベーションアップなどを目的に、ライセンスを取得できる機会を設けていて、熊代さんも2024年2月にライセンスを取得しました。

(高校生審判員・熊代倭さん)
「アウト」
「アウトなんかな?」
「セーフ」
「アウトや」

こんなこともありながら、野球部の練習はまだまだ続きますが…。

(高校生審判員・熊代倭さん)
「ミーティングに参加せず、最後まで残らず終わったらすぐ帰ります。融通の利く部活です」

そう笑う熊代さんですが、彼の審判員デビューは高校野球界にとっても明るい話題です。

■高校野球は審判員不足

ここ数年、深刻な問題となっているのが、高校野球の審判員不足。

秋の大会では1日、24人の審判員が必要な日もありますが、在籍するのは32人。

なかばボランティアで、本業もあるなか、この数を確保するのは難しく、最近は高校の部長や監督も塁審を務める状況です。

(県高校野球連盟 審判部・福谷貴弘 事務局長)
「徳島県として初めて、高校生の審判員が公式戦をさばくということになって」
「一同、嬉しい思いでいっぱいです」

そんな先輩の審判員たちに追いつこうと、熊代さんも自主的に解説本などを見て、動きや野球規則を学んでいます。

(記者)
「普段からルールの勉強もしている?」

(高校生審判員・熊代倭さん)
「こういう規則は難しいので、いろんなケースで書かれたものとか、分かりやすく書いたのを見たりして」
「インフィールドフライとか、最初全然わからんかったんですけど」
「難しいルールがいっぱいある中で、このルールだったなとか、この状況だったらこういうルール適用されるなとか」
「すって、出てきてできた時が、すごいやったなって気持ちになる」

デビューの日がやってきました。

審判をするのは、春のセンバツの重要参考資料となる秋季大会の2回戦です。

(記者)
「緊張感は?」

(高校生審判員・熊代倭さん)
「緊張はあんまないですね、いつも通りやればいいかな」

先輩審判員たちから助言をもらい、試合開始直前のミーティングに臨みます。

(試合前ミーティング)
「難しい判定とか自信もってできないやつは、素直にタイムとって正しい判断ができるように」
「みなさんの力をお借りすると思いますし、きびきびできるように心がけて頑張るので、フォローお願いします」
「頑張っていきましょう」

熊代さん、初めて公式戦のグランドへ。

高校生審判員誕生の瞬間です。

熊代さんが今回務めるのは、3塁の塁審。

初回から練習の通り、落ち着いて堂々とジャッジを下します。

そんな中、この試合一番難しかったというのが、この一打でした。

(高校生審判員・熊代倭さん)
「ボールって、ベースの上をちょっとでもかすっていたら、ファールゾーンに落ちてもフェア」
「打球はファールゾーンに落ちましたけど、かすったように見えたので僕はフェアだと思ったんで」

熊代さん、難しいジャッジも見事にこなしました。

(高校生審判員・熊代倭さん)
「公式戦も練習試合もやることは変わらないんで、公式戦だからとか気負わなかったですね」

(県高校野球連盟 審判部・福谷貴弘 事務局長)
「初めてのデビュー戦としては本当に素晴らしく、落ち着いてしっかり見て判定ができて、非常に良かったと思います」

先輩のサポートやこれまでの練習を活かし、無事に審判員デビューを果たせた熊代さん。

■選手に寄り添う審判員に

最後に、目指す審判員の姿について聞きました。

(県高校野球連盟 審判部・福谷貴弘 事務局長)
「選手に寄り添ってあげることは大事やと思うし、この人ええ人やな、いい審判やなと思われる」
「人間的なところはどんどん磨いて、感情だけで動かない」
「人間なんで感情はあるけど、そこをこらえて判断するのが僕は大事だと思う」

2026年度からは県内の専門学校に進学し、審判員も可能な限り続けたいと話す熊代さん、審判員の不足が叫ばれる中、今後の活躍に期待が高まります。

熊代さんのように審判に興味を持たれた方、高野連審判部によりますと、11月23日に高校生向けの審判講習会を開催する予定だということです。

もちろん高校生に限らず、審判は随時募集しています。

興味のある方は一度問い合わせてみて下さい。