【「君たちはどう生きるか」展】背景美術編後期は会場全体が見どころに!
「君たちはどう生きるか」展は、宮粼駿監督最新作『君たちはどう生きるか』制作のために描かれた手描きの絵を三回に分けて展示する企画。
これまでに第一部「イメージボード編」(2023年11月18日~2024年5月12日)、第二部「レイアウト編」(2024年5月25日~11月10日)が開催され、第三部「背景美術編」は当初の予定から会期が延長され、前期が2024年11月23日 ~2025年5月12日まで、一部の展示背景美術を入れ替えた後期が5月21日よりスタートした 。
後期の展示点数は全105カット分、前期の内容から61カット分を新たに入れ替えられている。メインとなる背景美術は前期から引き継がれているため、後期のみを観てもその内容の充実度に変化はない。前期を観ているファンならば、どの絵が変更されたかをチェックするというマニアックな楽しみ方もできるはずだ。
背景美術は撮影に使われる「素材」であるため、すべてがしっかりと描かれたものではなく、ものによってはカメラの動きに合わせた形で、絵画としてみると奇妙に感じる仕上がりになっているものもあり、アニメーションの「世界」の秘密を覗いたような気分が味わえる。
また本作の美術のすべては手描きで仕上げられたもの。昨今のアニメの制作現場では3DCGやデジタルツールによって背景が作成されることが多くなってきたが、手作業で紙に絵具で描かれる背景はまさに唯一無二の芸術と言えるだろう。近づいて観察すれば、その筆さばきの繊細さや大胆さにきっと驚かされることだろう。
そして第三~第四展示部屋の間に挟み込まれているのが、宮粼駿監督が自ら制作したパノラマボックス。
第三部で展示されているのは「インコ帝国」で、映画でも印象的だった洞窟と迷路が合わさったような不思議な空間が箱の中で立体感を持って見事に再現されている。
本展示は背景美術だけでなく、内装にも大いに注目してもらいたい。
4つの部屋の壁紙は映画に合わせて古い洋館のような重厚さでまとめられており、それぞれ色とパターンを変えられている。イメージ通りの壁紙が市販されていなかったため、吾朗氏の指示を受けて美術館スタッフによって新たに作成されたものだ。ちなみに額装のパターンも部屋によって色が変えられており、こちらも吾朗氏の監修によるものだという。空間とトータルで作品の世界に浸ってもらおう、というスタッフの細やかな心配りを感じられるはずだ。
そして会場を出る前に、展示の最後に掲示された吾朗氏のメッセージにもぜひ触れてもらいたい。2年にわたって展開されてきた「君たちはどう生きるか」展が訴えてきたものが何なのか、また「人の手が生み出したもの」の意義や価値について改めて考えさせられることだろう。
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