実家の片づけをする際に、移動も処分も難しい「大型家具」があることも…。ライフオーガナイザーの尾花美奈子さんは、70代の母の介護施設入居を機に実家の片づけを開始。そこで発見したのが、納戸にあった古い「タンス」です。悩んだ末に、尾花さんはこの重たいタンスを手放さずに残すことを選びました。今回は、ご自身の体験を通じて、捨てるだけではない片づけの方法をご紹介します。

実家の片づけで「タンス」を処分せずに解決

「実家じまい」という言葉を耳にするようになった近年。実家の家族が片づけについてどう取り組んでいるのか、気にかかる人もいると思います。

高齢者宅にはタンスや食器棚といった大きな家具がよく見られるので、安全性への心配もありますよね。そこで、私が実家で古いタンスを見つけたときにとった対応についてお話しします。

あき家になった実家の納戸で見つけたタンス

70代前半だった母が病気の影響により介護施設に入居。急なことだったため施設には直近で必要なものだけを持って行き、オフシーズンの衣類などほかのものは、折を見て母と一緒に取りに戻ることにしました。

私はそのときに母ができるだけ動かずラクに荷物を用意できるよう、必要になりそうなものをまとめたり、不要なものを処分したりし始めました。

オフシーズンの季節家電や日用品を保管していた納戸に入りました。すると、私が子どもの頃に使っていたタンスを思いがけず発見! 納戸はあまり使わない空間であり、タンスは入り口から見えづらい位置にあったため存在に気づきませんでした。

てっきり大学1年生で引っ越しをしたときに処分したものと思っていましたが、残っていたのです。

タンスの中に入っていたのは…

かたくなったタンスの引き出しをどうにかあけると、中に入っていたのは昔使っていたカーテンでした。使われない古いタンスの中に、使われない古いカーテン…。一見すると、丸ごと使われない不用品ですよね。

母と暮らしているときにこのタンスを発見していたなら、「なんで捨てないの? 捨てなよ」と言った自分が想像できました。でも、引っ越しの際に新居で使おうと思い、ものを大事にする意図で持ってきたのかもしれません。

母の世代なら当たり前の考えな気がします。カーテンも、力が弱った手ではかたい引き出しをあけられずにいたのかもしれません。丸ごと使われない不用品となったのは結果論であって、母なりの事情があったような気がしました。

母のために納戸を片づけ。タンスは残す

ここで私がすべきことは、母に今さら「捨てていなかったの?」と聞くことではなく、母が納戸にあるものを必要とするときのために、納戸を片づけること。

そのときの納戸は入り口すぐの足元にものが置いてあり、それを避けながら奥へ入るため、足が弱って杖をついて歩いていた母にとっては危なかったんです。そこで、安全に通りやすく、探しやすく、取りやすくなることを意識して片づけました。

タンスを反対側の壁に移動させ、納戸の入り口すぐの足元にはなにもなく安全な状態に。杖をついていても、そのまま奥まで一直線に歩ける通り道を確保しました。

日用消耗品のストックも、それぞれ使う場所に置かれていましたが、納戸に一か所にまとめて収納。家じゅうを歩きまわらなくても、納戸にさえ来れば必要なものを選べるようにしました。

捨てることだけが「片づけ」ではない

今回、納戸で見つけたのは私の幼少期のタンスでしたが、こうした大きな家具を捨てられないという高齢者は多いと思います。

たとえば婚礼タンス。子ども世代(30~50代)からすると「倒れたら危ない」「捨ててほしい」と思うかもしれません。でも思い出のつまったものは、そう簡単に捨てられるものではないんですよね。だからこそ、捨てる以外の選択肢も考えてほしいなと思います。

片づけの目的は捨てることではなく、住む人の心身を守り暮らしを向上させること。あくまでも捨てることはその手段のひとつです。大きな家具も「安全な場所に移動させる」「上段と下段に分ける」といった手段で暮らしが安全で快適になるなら、それも立派な片づけです。