XFN―ASIAによると、中国大手自動車メーカー北京汽車傘下の北汽車福田汽車は、2003年に20年間の提携で独ダイムラークライスラーと北京汽車との間で合意した関係の一環として、総数4億2611万株の新株を発行し、うちダイムラーに対して2億9700万株(約120億円)を割り当てる。調達資金は生産設備の増強にあてる。一方、関係強化が図られるダイムラーにとっては、合弁先を選別して中国国内の合弁会社の規制に対応させる狙いがあるものとみられる。

  上海証券取引所に提出した書類によると、北汽車福田汽車は1株あたり2.75元のA株で、総額11億7180万元(約170億円)を調達する。調達資金は大型トラック「欧曼」の生産設備や研究開発、小型バス生産設備、銀行借り入れの返済、運転資金に回す。総発行数の残り1億2911万株(約50億円)は北京汽車が引き受ける。両社とも株式取得後、3年間は売却しないことを保証する。

  ただ、中国大手証券、申銀萬国証券のアナリストは、原材料高騰や市場競争の激化、製品の偏りなどにより北汽福田が最近、収益性が悪化していると指摘。新株発行増資は財務と技術の両面を支援するものとの見方を示している。

  一方のダイムラーは、持ち株比率を24%に増やし第2位の株主となる見込み。ダイムラーは昨年、乗用車生産のため北京汽車と共同で北京ベンツ・ダイムラークライスラーを設立。加えて、福建省汽車集団、台湾の中華汽車工業とも商用車の合弁事業を行っているが、中国当局は現在、外国企業に対し合弁を商用車と乗用車で各2件に制限している。中国の一部報道によると、江蘇亜星客車が亜星ベンツの買収に同意したとしており、ダイムラーは新株引き受けに伴い、江蘇亜星客車集団との合弁会社である亜星ベンツから撤退する模様。この結果、中国国内の同社の合弁企業が組み替わることになる。
  
  北汽車福田は、今年第1―3四半期(1月―9月)の売上高が前年同期比22.11%増の138億6000万元(約2050億円)に伸びたものの、同期間の純損益は2083万元(約3億円)の赤字だった。同期間の販売台数は同8.4%増の25万4545台。主な内訳は小型トラックが21万9122台、中大型トラック1万7518台、バス1937台だった。【了】

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