藤川監督(左)が見守る中で投げ込む茨木(撮影・田中太一)

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 「阪神秋季キャンプ」(1日、安芸)

 阪神の藤川球児新監督(44)が1日、ブルペンを視察し、高卒2年目の茨木秀俊投手(20)を「ボールは素晴らしい」と絶賛した。

 秋季キャンプ初日に光る原石を見つけた。ブルペンに足を運んだ藤川新監督は、力強いボールを投げ込む一人の右腕に熱視線を送った。「まだまだ伸びしろが多い選手」。輝ける未来を見通したかのように、茨木への賛辞を惜しまなかった。

 茨木は捕手の栄枝を座らせ70球を投じた。落ちてくる雨粒を切り裂くような直球が、心地よい音を立てて何度もミットに収まった。背後から投球を見守っていた藤川新監督は、自ら打席に立ってボールを見極めたりもした。投球を終えて茨木と笑顔で言葉を交わしたが、その表情には確かな満足感が漂っていた。

 一方で過大な投げ込みには警鐘を鳴らした。茨木は今季2軍で22試合に登板し、チーム最長の118回2/3を投げ抜いた。6月に20歳を迎えたばかりの体には1年間の疲労が重くのしかかっている。指揮官は茨木の主体性を認めつつも「あまり無理してほしくない。ここでたくさん投げることにどれだけ意味があるのか。ちょっと僕なりに考えることはある」と親心からの疑問を呈した。

 全ては茨木の潜在能力を評価しているからこそ。藤川新監督の言葉を伝え聞いた茨木は「ありがたいこと。1年間投げるために、体作りをメインにやっていきたい」と表情を引き締めた。1軍未登板の素材を磨き上げ、藤川阪神の“宝石”とする。