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 阪神は30日、秋季練習を打ち上げた。11月1日から17日まで行われる秋季安芸キャンプの参加メンバー39人を発表。06年の38人を上回り、ここ20年間では最多の人員で活性化を目指す。佐藤輝明内野手(25)は、プロ4年目で初めて初日からフル参加。新任の藤川球児監督(44)からはリーダーシップを発揮することを期待されており、若手に教えることで自身の成長につなげる意気込みを示した。

 気持ちはすでにキャンプモードに入っている。佐藤輝は甲子園での秋季練習でも、フェニックスリーグ帰りの若手を引っ張った。小幡、高寺、ルーキー山田と組んだ打撃回りでは、キツいサーキットトレでも声を出して率先。午後の守備練習でも小幡、高寺、百崎と居残り特守でしっかり汗を流した。

 「2週間ちょっとですけど、秋季キャンプはいい時間にしたい。しっかりと姿勢というものを見せられるようにやっていきたい」

 高知・安芸での秋季キャンプに初日からフル参加するのは、4年目で初めての経験だ。1年目は東京五輪とコロナの影響で安芸キャンプが見送りとなり、22、23年は侍ジャパン参戦で途中参加となった。鍛錬の秋。自分のレベルアップを第一にしながら、若手にも1軍の厳しさを伝える意気込みだ。

 藤川監督もかねて、佐藤輝のリーダーシップ発揮に期待をかけてきた。この日は改めて「ありがたいことに佐藤(輝)も中野も来る。1軍でバリバリやっている選手を近くで見て、その所作を若い子が覚える。彼らはいい教材が近くにある」と“サトテル効果”を強調。活躍とともに苦しみも味わった背番号8だからこそ、若手には生きた教材となる。

 “輝先生”への入門志願者は多い。ルーキー山田が「一緒に動いてみて、スイングの強さ、1球に対する緊張感の違いを感じた。アメリカにも行って、打撃には詳しいので、意識しているところを聞きたい」と語れば、2年目の戸井も「1軍で出るためには1軍でやっている方から聞くのが一番。いっぱい聞きたいことがある」と機会をうかがった。

 もちろん、佐藤輝も後輩への指導を前向きに捉えている。「1軍じゃないと分からないことはある。聞かれれば何でも答えたい」。人に教えることで、新たな発見もできる。実りの秋に向け、先頭に立つ構えだ。 (鈴木 光)