(左から)首相官邸に入る石破首相、記者団の取材に応じる国民民主党の玉木代表(都内で)=いずれも30日

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 自民、国民民主両党は31日、政策協議に向け、幹事長・国会対策委員長会談を国会内で開く。

 石破首相(自民総裁)は、国民民主が求める手取り増に向けた減税措置の検討に応じ、自民、公明の与党と国民の部分連合で今年度補正予算や来年度予算を成立させて政権維持を図る方針だ。

 国民の玉木代表は30日、東京都内で「選挙で訴えた手取りを増やす経済政策をぜひ実現したい」と記者団に述べ、自公との協力に意欲を示した。31日の会談には、自民の森山、国民の榛葉両幹事長らが出席する。11月1日には公明と国民の幹事長・国対委員長会談が行われる予定だ。

 玉木氏は年収が103万円を超えると、所得税が課されて手取りが伸びなくなる「103万円の壁」の解消策や、ガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除の実現を優先する考えだ。記者団には「(いずれも)年末の税制改正に間に合わせる形で一定の結論を得る必要がある」と指摘した。

 自民、国民両党は安全保障やエネルギーなどの政策で共通点が多い。岸田政権時代にも政策協議を行い、国民は2023年度補正予算の賛成に回った。

 政府・自民は、11月中旬の決定を目指す総合経済対策に、国民が訴える電気・ガス代の支援策や、防災拠点となる体育館へのエアコン整備なども盛り込む方向で調整している。

 一方、国民は30日の執行役員会で、11月11日召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙では、決選投票も含めて玉木氏に投票する方針を確認した。指名選挙は、首相と立憲民主党の野田代表の決選投票となる見通しだ。決選で両氏以外の名前を書くと「無効票」になるため、玉木氏への票は無効となり、結果的に石破首相の選出を後押しすることになる。

 ◆部分連合=衆院や参院で過半数がない与党が個別テーマごとに野党と部分的に協力し、法案などの成立を図る方策。「パーシャル連合」とも呼ばれる。包括的な政策協定を結んで閣内に加わる「連立政権」、政策協定は結ぶが、閣僚は出さずに議会で協力する「閣外協力」とは異なる。野党側は協力案件以外では政権に連帯責任を負わず、敵対的な国会対応をとることもできる。小渕内閣が1998年、金融危機に対応する「金融再生関連法案」を巡り、野党案をほぼ丸のみして成立させた事例などがある。