西日本短大付が来春センバツ有力 エース中野が公式戦初完封 有明を下し準決勝進出
◇高校野球秋季九州大会準々決勝 西日本短大付4―0有明(2024年10月29日 別大興産)
準々決勝が行われ、西日本短大付(福岡)が4―0で有明(熊本)に勝利し、ベスト4入りを果たした。中野琉碧投手(るい、2年)が公式戦初完封の好投を見せ、2季連続の甲子園出場が有力になった。沖縄尚学―鹿児島実は8回途中で継続試合になった。沖縄尚学が3―0でリードしており、30日に再開する。31日が休養日となり、11月1日に準決勝、2日に決勝を実施する。
マウンドで笑っていた。楽しんでいた。9回2死一塁、この日の144球目。最後の打者を見逃し三振に抑えると、西日本短大付の中野は雄叫びを上げた。6安打を許すも粘って公式戦初完封。春は87年以来となる甲子園に大きく前進し「最低限の目標を達成できて良かった」と声を弾ませた。
最速136キロの直球とスライダーを武器に今夏の甲子園でも2試合に登板。今大会は聖心ウルスラ学園との1回戦で先発し、6回2失点だったが5四死球と力みが目立った。練習で大会前から意識してきた脱力をテーマに修正を図り、6回以外は毎回走者を出しながら要所を締めた。配球面ではスライダーに頼り切っていた投球を見つめ直した。捕手の山下航輝(2年)と「真っすぐ中心に打たせていく感じでいこう」と話し合い、的を絞らせなかった。
父・滋樹さんは東洋大、社会人野球のミキハウス、JR九州で活躍した元日本代表の強肩捕手。23年からはJR九州の監督を務めている。この日開幕した日本選手権出場を決めた際には「先に全国にいっているぞ」と激励のLINEが届いた。大分・柳ケ浦で98年夏の甲子園に出場した憧れの父から「ピンチでも弱気にならず強気で投げること」とアドバイスを受けて実践した。
16強入りした今夏に続く甲子園出場が有力となり、西村慎太郎監督は「勝負どころでしっかりボールがいっていた。それが勝因」とエースの投球に目を細めた。来月1日の準決勝はJR九州の初戦と重なり、中野は「お父さんを超えたいので頑張ります」と力を込めた。 (杉浦 友樹)
◇中野 琉碧(なかの・るい)2007年(平19)5月12日生まれ、福岡県出身の17歳。小学3年の時に藤松ユニオンズで野球を始める。中学は緑丘中の軟式野球部に所属。西日本短大付では2年春からベンチ入り。1メートル74、72キロ。右投げ左打ち。