じつは、定年後に「仕事満足度」が上昇するという「意外すぎる現実」
年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%――。
10万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。
仕事の負荷はどう変化するのか
50歳以降、能力が下がるなかで仕事の負荷はどう変化するのか。
〈定年前後を境に仕事の負荷はどう変わるか。それは能力の変化と比較して傾向はより明確である。
つまり、ほぼすべての項目において定年を境に急速に「上昇する」から「低下する」に転じる。
「仕事の量」のほか、「仕事の難しさ」や「仕事における権限」など仕事の質に関する項目、さらに「仕事からの報酬」といった外形的な項目、あらゆる項目で定年前と定年後とで断絶がある。〉(『ほんとうの定年後』より)
仕事の満足度と能力・仕事負荷の関係
定年をターニングポイントとして、「仕事の負荷が下がる」という現実がある。
年代別に仕事の負荷が適切であるかどうかを見ていくと、興味深い事実が浮かび上がる。
〈自身の能力に照らして仕事の負荷が適切であると感じる人の割合は20代で54.5%、30代で56.2%、40代で54.3%と横ばいで推移した後、50代前半の60.9%から60代後半で71.0%まで上昇する。
これは仕事の負担が重すぎると考える人の割合が減るからである。仕事の負荷が過大であると回答した人は、40代の31.8%をピークに、70代前半の8.3%の水準まで下がり続ける。〉
〈50代以降、仕事の負荷が低下していくことによって、能力と仕事負荷のバランスが適正化し、多くの人にとって仕事は心地よい水準に調整されていく。
実際に、仕事の満足度と、能力と仕事負荷のバランスとの関係性をみると、その相関関係は非常に強い。バランスが適切だと感じている人ほど、仕事に満足して働けている人が多いのである。〉(『ほんとうの定年後』より)
定年後に仕事の負荷がちょうどいいと思う人が増える。
逆にいえば、現役世代の方々は、負荷の重すぎる仕事をしているということだ。
定年後には仕事における過度な負荷から解放される――この事実は「人生100年時代のキャリア」を考えるうえで、重要なカギとなるはずだ。
つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。