新人公演初主演の花組・美空真瑠は、本公演では天使「ウタエル」で出演中

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 宝塚歌劇花組「エンジェリックライ」の新人公演が24日、兵庫・宝塚大劇場で上演された。

 2019年入団の第105期生で、6年目の美空真瑠(みそら・まる)が待望の新人公演初主演。花組の新トップスター・永久輝(とわき)せあが本公演で演じているヤンチャな堕天使で、天空への復帰を狙うアザゼルを笑顔はつらつ、元気いっぱいに演じた。

 カーテンコールで美空は、スタッフや上級生に続いて「皆様の手拍子の一つ一つがうれしく、たくさんの勇気をいただきました」とファンに感謝。「たくさんの方の思いが重なりあって、舞台は成り立っているんだなと改めて感じました。大好きな花組の一員として、成長できるように努めてまいりたい」と笑顔であいさつした。

 美空は、本公演では歌唱力の高さから天使「ウタエル」(=歌える)を演じる実力派。3歳からバレエを始め、ロシア短期留学の経験もあり、ダンスも切れが目を引く。「巡礼の年」(22年)では前トップスター・柚香光(ゆずか・れい)が演じたピアニスト、フランツ・リストの少年時代を演じるなど芝居心も豊かで、三拍子そろっているホープだ。

 入団時の成績は上から4番目で、新トップ娘役・星空美咲(5番目)より上の評価。音楽学校受験時(17年)は身長165センチで娘役志望の三つ編みで挑んだが、男役との分岐点とされる167センチを超えたことから(現在169センチ)で念願の男役となった。

 ヒロインのトレジャーハンター・エレナ役は同期・初音夢(はつね・ゆめ)が務め、息の合った空気感を劇場に醸しだした。

 東京宝塚劇場では12月19日に上演される。7年目までで挑む新人公演について美空は「成長過程ではなく、見に来てくださったお客様に心からに楽しんでいただける舞台にしたいとメンバー一丸となってお稽古を重ねてまいりましたが、まだまだ課題はたくさんあります。もう一度ある東京での、当たり前ではないチャンスに感謝して、さらにもがいて、もがいて成長していきたいと思います」と、ブラッシュアップを約束した。

 宝塚の新人公演主演&ヒロイン経験者は、トップスター4人、トップ娘役3人を輩出した“豊作世代”第95期(2009年入団)で計12人(のべ28人)。美空と初音の出演で、第105期も本作で同数の12人(のべ14人)となった。宙組「パガド」(23年)で初主演が決まっていた泉堂成(せんどう・なる)は上演が中止になったが、7年目終了まで残りあと約1年半あり、“95期超え”の可能性は十分ありそうだ。