〈湯島・ベトナム人ガールズバー経営者の女ら17人逮捕〉湯島は不良外国人の巣窟なのか? ベトナム人向けクラブに潜入するとフロアは狂宴状態、“キマっている”男性から…

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東京・湯島のベトナム人ガールズバーで、従業員たちに無許可で接客をさせた疑いなどで、経営者の女ら17人が警視庁に逮捕された。近年、急増する在日ベトナム人。そんな彼らが幅をきかせる繁華街が、東京・湯島駅付近のエリアだ。しかし、ベトナム人ガールズバーの出店も相次ぐなか、同業者からの評判は決してよくないという。数年前には”日本初”のベトナム人専用のクラブがオープンしたのだが、そこで記者が見た衝撃の光景とは…? 

ベトナム人女性は愛嬌がよく、一気に人気者に 

日本に滞在するベトナム人の数は近年、うなぎ上りだ。

出入国在留管理庁発表の在留外国人統計によると、2022年末時点の在日ベトナム人は、48万9312人で中国人に次ぐ第2位。さらに、同年10月時点の日本におけるベトナム人労働者数は、中国人を超える46万2384人。2010年から比較するとその数は10倍以上にも推移しており、外国人労働者全体の25.4%を占める。

同郷の人間が異国で集まれば、特定の街でコミュニティをつくるもの。彼らもその例に漏れず、台東区と文京区の境目にある湯島エリアでは、ベトナム人ガールズバーなどの“大人の遊び場”で働く人が増えている。

湯島天満宮など歴史的スポットが多い町としても知られているが、昨今は中国・韓国・フィリピン系の接待を伴う多国籍の店が乱立している。そんな街でなぜベトナム人店舗が増えているのか。実話誌ライターが語る。

「コロナ禍に中国系や韓国系のクラブがつぶれて、そこにベトナム勢が入り込んだ。新宿や池袋は家賃が高いけど、湯島なら安いし、もともと多国籍の店が多い地域。外国人に簡単に貸してくれるオーナーが多いのも理由のひとつだろう」

6月某日の夜9時すぎ。すでに多くの人で賑わう湯島を歩いていると、ベトナム人らしき女性の姿もチラホラ見られる。
ガールズバーで働く彼女たちはベトナムの民族衣装、アオザイに身を包み、「オニーサン、一杯ドウデスカ~?」と声をかけている。料金は30分1500円。チャージ額としたら相場といったところだろう。

湯島エリアでバーを経営する男性はこう言う。

「湯島のガールズバーといえば、ロシアやフィリピンしかなかったけど、5、6年前くらいに『Queen』と『333』というベトナムガールズバーがオープンしました。ベトナムの子たちは愛嬌があるからすぐに人気になって、コロナ禍でも一気に10軒くらい増えました。
あのころは出国制限が厳しかったから、学生ビザのまま帰れなくなったベトナム人の働き口として注目されたこともあったんでしょう」

ベトナム人女性の客引きに同業者が苦言

記者も某ベトナムガールズバーに実際に足を運んでみた。店内はスナックのようなレトロな雰囲気で、ひとり客の姿も目立つ。

ついてくれた23歳、黒髪のロングヘアの女の子はニコニコしながらカタコトの日本語で接客してくれた。
会話は「月に1回はベトナムの実家に仕送りしている」「弟の学費を稼がないといけないから大変」といった身の上話がメイン。同情をひいてドリンクを入れてもらおうという腹なのだろうか。事実、頻繁にドリンクをおねだりされて、記者はその笑顔にまんまと乗っかってしまい、約1時間の滞在で料金は1万円ほどとなったが、そのあたりは日本のガールズバーと大差はない。

しかし、同業者からすると腹に据えかねる思いもあるようだ。同じ湯島エリアで客引きする20代の日本人ガールズバー従業員はぼやく。

「湯島は同業者のトラブルを避けるために、店ごとに客引きできる範囲を決めてるんですが、彼女たちは全然守ってくれない。
通行人を何十メートルも追いかけてしつこく客引きする姿もあるし、4、5人で路上を塞ぐように立ってる日もある。正直迷惑ですよね」

時刻は24時をまわり、次に訪れたのはベトナム人向けのクラブ。

「去年5月午前2時ごろに、23歳のベトナム人女性が口におしぼりを詰っ込まれた状態で路上で倒れており、搬送先の病院で死亡が確認された事件が起きたが、その舞台となったのがこのクラブと言われている」(実話誌ライター)

女性の死因はMDMA中毒と気道閉塞による窒息。死亡女性の仲間であり、錯乱する彼女を路上に放置した同国籍の男女4人は、去年10月に逮捕された際に「警察や救急車を呼べば自分たちの薬物摂取もばれてしまうと思った」と供述している。

「クラブは日本人の利用も可能になったが、同業者からは『いまだに違法ドラッグ(MDMA)のやり取りがされている』との噂も絶えない」(同)

薬物売買が行われると噂のクラブに潜入

1階フロントで2000円の入場料を支払う。ダンスフロアに続く階段に掲示された張り紙のすべてはベトナム語だ。
フロアで盛り上がる客の9割が若いベトナム人。隣の席に座った30代の日本人男性客も「ナンパ目的で来たけど、ここはベトナム人同士で楽しむクラブだったんですね」と苦笑い。

この日は常連客の誕生日イベントのようで、「Happy Birthday」という看板を掲げたボーイが登場すると、フロアは大熱狂。VIP席に座っていたベトナム人グループが立ち上がり、シャンパンを一気に飲み干すなど、お祭り騒ぎだ。

酔っぱらった勢いで握手を求めてきたベトナム人男性に話を聞いてみると、普段は大久保のベトナムレストランで働いているが、たまにこのクラブへ気晴らしに来るらしい。

ここで、前述とは別の日本人男性がそのベトナム人男性に「ドラッグは買えるか?」と尋ねた。彼は不敵な笑みを浮かべつつ、ソファでうなだれるひとりのベトナム人男性を指さす。
その日本人は案内された男性のほうに行って同じように尋ねたようだが、どうやら取引を拒否されてしまったらしい。
近隣で飲食店を営む40代の男性は、この光景について解説する。

「湯島エリアは台東区と文京区の境目で所轄も上野警察署と本富士警察署に分かれているから、繁華街にしてはパトロールが少なかった。
でも、去年5月の事件で警察も“ベトナムクラブの摘発”に本腰を入れ始めたようで、ピンポイントで見回りするようになったんです。だから、不良ベトナム人側も違法ドラッグを売るのにかなり慎重になってるんですよ」

クラブの前でベトナム人が職務質問される光景は、もはや夜の湯島の”日常”になったという。この飲食店経営の男性も、いわゆる”キマった状態”のベトナム人にからまれた経験があるそうで……。

「営業が終わった朝方にゴミ出しに行ったら、コンビニ前でたむろしていたクラブ帰りと思しきベトナム人のひとりに『おい、なに見てんだよ!』とからまれました。その男性は明らかに挙動がおかしくて……。
そのときは止めに入ってくれる男性がいたから助かりましたけど、正直ここらで商売する身としては怖いですよね」


※本記事は2023年6月21日に公開した内容に加筆、修正を加えたものです

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班