マサチューセッツ工科大が発表した前代未聞の論文「宇宙人のニオイ」はとんでもなく臭かった

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「オーデスペース(Eau de Space=宇宙の水)」という名前の香水がある。これはNASAの宇宙飛行士からの情報をベースに作られたもので、発売当時は「これが宇宙のニオイ」(CNN)、「元NASAの天才によって作られたボトル入りの宇宙の香り」(ニューヨーク・ポスト)等々、全米のメディアで大々的に紹介された。

 この香水のコンセプトは「火薬と表面をあぶったステーキ、ラズベリー、ラム酒が混ざったニオイ」だというのだが、確かに宇宙にも匂いはあるはずだ。ただ宇宙空間には酸素がないため、宇宙飛行士といえど、直接匂いを嗅いだ者はいないだろう。

 科学者らはこれまで、宇宙の匂いというのはおそらく、宇宙飛行士の宇宙服に付着した原子状酸素が宇宙船に侵入した際、船内の再加圧により原子が酸素にぶつかり、オゾンと混ざり合って出た時の「それ」ではないかと推測していた。

 一方でよく聞かれるのは、宇宙人を目撃、あるいは連れ去られそうになった人たちの証言にある「UFOが飛び立った後、金属が焼けただれたような匂いがした」「エイリアンを目撃した時、嗅いだことのないような悪臭が立ち込めていた」等々の表現だ。この謎は長らく解き明かされることはなかった。

 ところが2019年、マサチューセッツ工科大学でアストロバイオロジーを研究する科学者達により「Phosphine as a Biosignature Gas in Exoplanet Atmospheres(系外惑星大気中の生命存在指標としてのホスフィン) 」と題された論文が、その謎を解き明かすカギになるのでは、とされた。

 この論文によれば、ホスフィンというのは一部生物の糞や腸内、沼地で発生する強烈な匂いを持つ物質であり、地球上の生物にとって極めて有毒なもの。しかし、酸素を好まない生命にとっては非常に有用でありい、宇宙人の存在とは密接な関係がある。

 惑星の大気中にホスフィンが一定量、含まれていると、特徴的な光のパターンが発生する。

「そのため、惑星を宇宙望遠鏡で観測し、この光のパターンを見つけることができれば、その星に生命が存在する可能性がある、という仮説を導き出したのです」(科学ジャーナリスト)

 この仮説が正しければ、ホスフィンという物質を好む生命体は悪臭を発する。となると、UFOや宇宙人を目撃したり、連れ去られそうになった人たちの「嗅いだことのないような悪臭」証言が俄然、信憑性を帯びてくる。

 一説には霊が近くにいつ時にも「霊臭」という生臭いような、あるいは焦げ臭いような匂いがするという。もしかしたら宇宙人の匂いもそれに近い、あるいはそれ以上に強烈かもしれないのだ。

(ジョン・ドゥ)