オイペンのGKコーチに就任した田口氏。(C)K.A.S. Eupen

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 かつて豊川雄太(現・京都サンガ)なども所属したベルギー2部のオイペンは10月中旬、日本人指導者の田口哲雄氏がトップチームのGKコーチに就任することを発表した。契約期間は非公開。

 知名度が決して高くはない一人の日本人指導者が、日本サッカー界にとっても偉大な一歩を踏み出した。欧州主要国のトップクラブでGKコーチを務めた同胞の先達は存在せず、田口氏が文字通りのパイオニアとなる。

 現役時代のプロ経験は持たないものの、ドイツの名門ケルンのU−21コーチングスタッフ、JFAコーチGK担当などを歴任してきた田口氏は、ドイツ語と英語を流暢に操るトリリンガル。オイペンではその両言語を駆使しながら、選手やスタッフとコミュニケーションを図っているという。
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 オイペンには現在、ガーナ代表歴を持つアブドゥル・ヌルディーンをはじめ、ドイツ国籍、そしてベルギー国籍のGKが所属しているが、田口氏は選手たちの能力を引き伸ばすべく、どのように指導しようとしているのか。本人はこう語る。

「3人ともまだ若いゴールキーパーであり、彼らの成長の一助となるべく、それぞれの役割に沿った形で今までの経験やノウハウを伝えることができたらと思います。GKチームとして健全なライバル関係と良き仲間意識のバランスはすでにあるので、そこを上手く刺激しながら進めたいです。自らを日本人と意識することは日常ではほとんどありませんが、こちらでグループに受け入れられるためのキッカケにはなりますし、日本で少しでも本場ヨーロッパのゴールキーパーへの関心が高まることを期待しています」

 日本人GKコーチとして未知の領域に足を踏み入れた田口氏。そのチャレンジをしっかり追いかけていきたい。

■プロフィール
田口哲雄(たぐち てつお)
1976年、埼玉県生まれ。東京外国語大学卒業後に渡独し、2006年から1.FCケルンの育成部門GKコーチとして働き始め、U−21チームのコーチングスタッフおよびU−15からU−21のGK育成を担当。19年秋の帰国後、22年末までJFAコーチGK担当を務めた。24年秋にオイペンからオファーを受け、約5年ぶりの渡欧を決断。『ワールドサッカーダイジェスト』で連載中の「GK上級観戦塾」も好評を博す。教え子にリオ五輪銀メダリストのティモ・ホルン(現・ボーフム)など。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部