マスク氏、激戦州で毎日1人に100万ドル 違法性巡り調査必要との声も

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Jarrett Renshaw

[ハリスバーグ(米ペンシルベニア州) 20日 ロイター] - 米実業家イーロン・マスク氏は19日、大統領選の共和党候補であるトランプ前大統領を支援するスーパーPAC(特別政治活動委員会)「アメリカPAC」のオンライン署名に賛同した人の中から、11月5日の投票日まで毎日1人に100万ドルを配ると発表した。

激戦7州に居住し、有権者登録した署名者が対象。アメリカPACの請願書は言論の自由と銃所持の権利を支持する内容だが、署名活動でつながった有権者をトランプ氏支援に動員する狙いがあり、違法性を指摘する声が出ている。

マスク氏は激戦州の一つ、ペンシルベニア州のハリスバーグで19日にアメリカPACが開いたイベントに参加した男性を最初の当選者に選び、100万ドルの小切手を渡した。イベント参加者全員が署名を求められた。

アメリカPACのXへの投稿によると、マスク氏は20日に同州ピッツバーグで開いたイベントでも当選した女性に100万ドルの小切手を渡した。

ペンシルベニア州のシャピロ知事(民主党)は20日のテレビ番組で、マスク氏が同州の有権者に金銭を配ると約束したのは「深く憂慮すべき」ことであるとし、「法執行機関による調査」を呼びかけた。

同州の登録有権者は署名すれば1人当たり100ドル、別の有権者を紹介しても1人100ドルを受け取ることができる。

米連邦法は、投票や有権者登録と引き換えに金銭を支払うことを禁じており、違反すれば禁錮刑を科せられる可能性がある。現金だけでなく酒や抽選権など金銭的価値があるものを贈ることも禁止されている。 

経済誌フォーブスの世界長者番付で首位に立つマスク氏は、自身が立ち上げたアメリカPACにこれまで7500万ドル以上を献金しており、接戦とみられる大統領選に財力を使って影響を及ぼそうとしている。同氏はアメリカPACのイベントで参加者に期日前投票を行うよう促してきた。