Google TV Streamer

Googleから、メディアプレーヤーの新モデル「Google TV Streamer」(16,000円)が発売された。Google TVをOSに採用し、テレビと接続してYouTubeやNetflixなどが楽しめる製品だが、処理速度が向上しているだけでなく、筐体の形状も据え置きタイプになるなど、今までのメディアプレーヤーである「Chromecast with Google TV」とは一味違う製品に仕上がっている。

製品をお借りしたので、実際に使いながら、その特徴をレポートする。

Google TV Streamerのパッケージ

“テレビ裏にぶら下げる”ではなく、据え置きメディアプレーヤーに

内容物。左がリモコン、右下が給電に使うUSB-Cケーブル

まず、Google TV Streamerの大きな特徴は、Chromecast with Google TVとは形状がまったく異なる事だ。

既存のChromecast with Google TVは、HD対応モデル4,980円、4Kモデル7,600円という2機種が存在するが、いずれも形状は“平べったい石鹸”のようなボディから、直接HDMIケーブルが伸びている。これをテレビ裏のHDMI入力に差し込み、テレビの裏にぶら下げて使うプレーヤーだ。

Chromecast with Google TV(左)とGoogle TV Streamer(右)

対して、Google TV Streamerは4K対応モデルのみで、価格も16,000円と、Chromecast with Google TVの4Kモデルより高価。さらに、ボディがより横方向に大きくなり、傾斜がついたデザインに変更。さらにHDMIケーブル直出しではなくなり、背面にHDMI出力端子を装備。さらに、Chromecast with Google TVには無かったLAN端子が追加されている。

背面にHDMI出力端子。Chromecast with Google TVには無かったLAN端子が追加されている

形状からもわかるように、Google TV Streamerはテレビの裏にぶら下げるのではなく、テレビの横などに据え置きで使うプレーヤーという位置付けになっている。

背後に向かって斜めに傾斜がついた本体形状

そのため、今までのChromecast with Google TVは、開封したらすぐテレビと接続して使えたが、Google TV Streamerはテレビと接続するために別途HDMIケーブルが必要となる。「今まではケーブル直出しだったから何もいらないでしょ」と思っていると、使えないので注意が必要だ。

HDMIケーブルが別途必要

Chromecast with Google TVは、ケーブル一体型なので、旅行先に持っていって、ホテルのテレビに接続して映画などを楽しむという使い方ができたが、Google TV Streamerは本体がより大きく、HDMIケーブルも持参しなければならないので、あまり旅行には向かないだろう。なお、USB-C経由での給電が必要なのはどちらも同じだ。

Chromecast with Google TVの方が可搬性は優れている

USB-C給電で操作する

体感でわかるキビキビ動作が魅力

スマホを使って手軽にセットアップできる

Google TVのホーム画面

スマホを使って手軽にセットアップできる事や、NetflixやYouTubeなどのアプリが並ぶGoogle TVのホーム画面などに大きな違いは無い。

ハードウェアの大きな違いは、プロセッサの処理速度が22%向上した事。

数字で言われてもピンとこないが、実際にChromecast with Google TV(4K)とGoogle TV Streamerを使い比べてみると、明らかにGoogle TV Streamerの方が動作がキビキビしている。

例えば、Google TVのホーム画面から、YouTubeやNetflixアプリを起動してみると、Chromecast with Google TV(4K)では、アプリのアイコンを押し込んでから、真っ暗の画面が一呼吸表示され、そのあとにYouTubeやNetflixのロゴが登場。そこからまた黒画面が一呼吸表示され、映画などが並ぶホーム画面が表示される。

しかし、Google TV Streamerはアプリのアイコンを押し込むと、黒画面を表示する間もなくすぐにYouTubeやNetflixのロゴが登場。そこから間髪入れずに、動画が並ぶホーム画面へと推移する。

コンテンツを選び、再生されるまでのスピードもGoogle TV Streamerの方が爆速。再生が終わって、一覧画面に戻る時もキビキビしているので、操作にストレスが無い。

サクサク動作でYouTubeもノーストレスで楽しめる

Google TVのホーム画面も動きのキレが違う。多くの動画コンテンツサムネイルやアイコンが表示されている画面を、上下にスクロールすると、Chromecast with Google TV(4K)は少しカクつき、画面のスクロール速度にコンテンツ表示が間に合わず、画面が移動した後にパラッ、パラッとコンテンツが現れる事がある。

対して、Google TV Streamerのスクロールはヌルヌルで、ノーストレス。“処理速度22%向上”という数字だと、ちょっとショボく感じられるが、体験してみると「もう戻れない」という快適さだ。

また、基本的なところでは内蔵ストレージの容量が、Chromecast with Google TV(4K)の8GBから、Google TV Streamerは32GBと大幅にアップ。アプリを沢山入れたい人にも嬉しい進化となっている。

リモコンが大きくなり、さらに使いやすく

使い勝手の面で見逃せないのが、リモコンの進化。

Google TV Streamer付属リモコン

一見すると同じようなデザインだが、比べてみると、Google TV Streamer付属リモコンの方が長くなっている。

左がChromecast with Google TV (4K)のリモコン、右がGoogle TV Streamerのリモコン

これは、新たにボリュームボタンを追加したため。縦長のボタンとなっており、より直感的にボリューム操作ができる。

さらに、従来「デバイス入力」ボタンがあった場所が、カスタマイズボタンに変更。ここに任意のアプリや、Google Home機能の呼び出しを割り当てられるようになった。

カスタマイズボタンを搭載

リモコンには独立したボタンで、YouTubeとNetflixのショートカットボタンを備えているが、例えばカスタマイズボタンに「U-NEXT」を割り当てれば、カスタマイズボタンを押すだけでU-NEXTアプリが立ち上がるわけだ。

カスタマイズボタンに割り当てるアプリを選んでいるところ

カスタマイズボタンを押すと……

「U-NEXT」アプリが起動するようになった

さらに、リモコンが見当たらない時に、Google TV Streamerの本体背面のボタンを押すと、リモコンから音が出て居場所がわかる機能も新たに搭載している。

LAN端子搭載で4K動画も安定再生

映像表示のスペックは、最大4K対応、HDR 10+、Dolby Visionに対応しているのはChromecast with Google TV(4K)と同じだ。

異なるのが音声の部分。Chromecast with Google TV(4K)は、Dolby Atmosでエンコードされた音声は、HDMIパススルーしてAVアンプでデコードするしかなかったが、Google TV Streamerは新たにDolby Atmosのデコードが可能になったという。

ただ、この機能、今回の試用では設定項目が見当たらず、試すことはできなかった。Chromecast with Google TV(4K)と同様に、Atmos対応のAVアンプと接続して、AtmosサウンドをAVアンプにパススルー伝送できることは確認できた。Atmosのデコード機能については、現在Googleに問い合わせ中。回答が得られ次第、追記する予定だ。

AVアンプにHDMIで接続。NetflixのAtmos音声映画をパススルー出力し、AVアンプ側でAtmosデコードはできた

画質・音質面でもう1つ重要なのは、前述のようにLAN端子を備えた事。Google TV StreamerとChromecast with Google TV(4K)はどちらもWi-Fiを内蔵しているが、4K解像度の動画再生などでは、LAN端子も備えたGoogle TV Streamerの方が、より安定した再生ができるだろう。このあたりも、Google TV Streamerが据え置きプレーヤーである特徴と言えるだろう。

さらに、Google TV StreamerはスマートホームデバイスのMatterデバイスやWorks with Google Homeデバイスを制御する機能も備えている。

つまり、テレビ画面で映画を楽しみながら、対応する部屋の照明操作して暗くして、映画館気分にする……といった使い方も可能だ。

Chromecast with Google TVよりも高機能ではあるが、代わるものではない

このように、Google TV Streamerは、「Chromecast with Google TVの処理速度が上がった上位モデル」ではなく、「LAN端子も備え、より多機能になった据え置きモデル」という別の軸で考えるべき製品だ。

すでにChromecast with Google TVを使っている人も、「Chromecast with Google TVは旅行などの持ち運び用」と割り切り、家でさらに快適に映像・音楽配信、アプリを楽しむためにGoogle TV Streamerを追加するというのはアリだろう。

逆に、Google TV StreamerからGoogle TVに触れてみて、毎日楽しむほど気に入ったら、旅行用にChromecast with Google TVも買う……というのも、よさそうだ。