製造業DX展に出展中のエプソンダイレクトブース

○製造現場の産業用PCを汎用PCで置き換えるソリューション

製造業DX展は、製造業に特化した10個の専門展のうち、製造業の業務デジタル化による変革(DX化)を推進するIT製品やサービスを集めた展示会です。エプソンダイレクトの展示内容は、製造ラインにエプソンPCを導入するメリットの訴求が中心で、グラフィックスボードが搭載できる高性能なコンパクトPC、タッチディスプレイとしても使えるタブレットPC、Window IoT搭載PC、スマートグラスなどを展示していました。

製造現場でニーズの高い省スペース性に優れたデスクトップPCや、タブレットPCなどが展示の中心

エプソンダイレクトのソリューションは、汎用PCを製造現場のニーズに合わせてカスタムし、特定用途向けPCとして納品することで産業用PC(FC)の導入よりもコストのダウンサイズを実現すること。産業用PCは専用に設計し、不必要な機能を省くことで安定動作を可能にする一方、導入コストは汎用PCの3倍以上かかると言われています。

エプソンダイレクトの特定用途向けPCは、産業用PCほど特化していません。しかし、カスタムした汎用PCでも十分という現場も多く、製品の品質をきちんと担保して産業用PCと同等の安定動作を保証すれば、汎用PCのほうが導入しやすくなると呼びかけていました。

エプソンPCの導入メリットをまとめたパネル

8月20日に受注を開始したばかりの「Endeavor ST60E / JS60」は、15×15×3.3cmのマイクロサイズな本体に、環境負荷の低い省電力設計を凝縮したPCです。

ハイグレードモデルの「Endeavor SG150 / SG150E / JG150」は、コンパクトな本体にグラフィックボードまで搭載しており、画面描画に一定の性能が必要な環境に適しています。

ST60EとSG150、SG150EはWindows 11に対応。JS60とJG150はWindows 10 IoT Enterprise LTSC(以下、Windows IoT)に対応します。

Windows IoTは特定用途向けPC用のOSで、10年間のバージョン固定運用に対応し、煩雑なアップデートによってラインを止めることなく、24時間365日の稼働が可能になっています。また、利用する機能をロックダウンできるため、不必要なアプリケーションの動作を禁じたり、キーボード操作やUSBの利用を制限したりといった、高いセキュリティを実現します。

いずれのモデルも、電源スイッチを本体から伸びるリモコンでオンオフできるオプションが用意されていて、展示品では本体から延びたコードの先の電源スイッチに触れるようになっていました。

「Endeavor ST60E / JS60」

「Endeavor SG150 / SG150E / JG150」

コンパクトなのでディスプレイの背面に装着しての利用も可能です

高品質な製品づくりには優れたパーツを選定が欠かせません。展示台では、冷却ファンやコンデンサー、メモリーといったパーツの選定にあたり、どのような差別化を行っているか、実物を用いて説明していました。たとえばメモリーの端子部分には金メッキを施したものを採用し、動作不良を低減しています。

パーツの選定にもこだわりを持っていることを示す展示

○タブレットやスマートグラスも注目を集める

引き合いが増えているというタブレットは、最新の「Endeavor JT70」と、既存モデルながら人気の高い「Endeavor JT51」を展示。JT70は静電気の感知を高めたことで、現場で多い手袋を装着した状態での操作に対応します。

一方、「Endeavor JT51」は手に持って利用するだけでなく、立てたり、壁にかけたりして使うための豊富なオプションが用意されており、それらの利用状況が体験できるよう工夫されていました。

「Endeavor JT70」は来場者が実際に手袋をはめてタッチ操作を試せるようになっていました

「Endeavor JT51」は持ち運び用のベルトが付けられています

現場で多い「視覚で情報を得ながら両手を空けて作業したい」というニーズに応えるのが、メガネのレンズに情報を映し出すスマートグラスです。ヘッドセットタイプの「BT-45CS」とメガネタイプの「BT-40CS」が並んでいて、関心を持って足を止める人が多いコンテンツになっていました。

どちらも実際に装着して、情報がどのように映し出されるか試せます。展示では小さな穴の空いたボックスの中にファイバーケーブル付きの小型カメラを差し込んで、中の様子が鮮明に見られるようになっていました。

スマートグラス「MOVERIO」のヘッドセットタイプ「BT-45CS」

メガネタイプ「BT-40CS」

エプソンダイレクトのブースの一角では、エンジニアリング商社の進和とNECネッツエスアイが、エプソンダイレクトのPC上で展開できるDXツールを出展していました。

進和が提案するマネージメントツール「SDS-Manager」は、設備データを収集して、状況の把握や分析などを行い、データの見える化を推進。進和×NECネッツエスアイの「工場DXサッシュボード」は、SDS-Managerと連携して3Dマップ上で工場全体を俯瞰的に把握するツールです。

進和のマネージメントツール「SDS-Manager」

進和×NECネッツエスアイの「工場DXサッシュボード」

製造現場におけるDX化の推進には、業務を滞らせることなく長期安定稼働するPCの存在が欠かせません。エプソンダイレクトは、業界でも珍しい7年間の長期保証サービス、有寿命部品保守サービスやPC高速化サービス、迅速な「1日修理」などに対応しています。製造業の顧客価値を高め、DX化に貢献する魅力ある選択肢を揃えていることが、展示やスタッフの説明から感じ取れました。

製造業DXを含む「ものづくりワールド」は、今回の大阪だけでなく、東京、名古屋、福岡でも実施されています。それだけ国内各地に製造業やものづくりを巡る多種多様なニーズがひしめき合っていると言えるでしょう。

エプソンダイレクトの今後の出展予定は不明ですが、こうした展示会は店頭で触れることのできない特定用途向けのPCを実際に見て、詳しいスタッフに話を聞く絶好の機会です。現場のDX化に関心のある情報システム部門や製造現場の担当者には、こうした製造業向けの展示会にぜひ足を運んで情報収集してほしいと感じました。