スイスの氷河消失、24年は過去10年平均超える 猛暑で加速

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Denis Balibouse Cecile Mantovani

[チューリヒ 1日 ロイター] - スイス氷河モニタリング・ネットワーク(GLAMOS)は1日、2024年にスイスの氷河が全体積の2.5%を失い、過去10年の平均を上回る融解ペースとなったとする報告書を公表した。

今年はアルプス山脈で冬季の降雪と春季の寒冷が見られたことから、氷河学者らは長年の大幅な氷河減少に歯止めがかかるか、反転する兆しになると期待していた。しかし夏の猛暑で積雪が融け、アレッチ氷河の上の標高3571メートル地点にある観測所でも8月の平均気温がゼロ度を数度上回るなど、全土で記録的な氷解が観測された。

GLAMOSのマティアス・フス代表は「降雪の多い冬と寒冷で多雨の春という、氷河にとって実際完璧な1年だったにもかかわらず十分でなかった事態は懸念される。今年のような傾向が続けば、スイスの氷河にとって壊滅的となる」と述べた。

報告書は今年の氷床消失を助長した要因の一つとして、サハラ砂漠から飛来した塵によって氷床に茶色や淡紅色の色相が生じ、太陽光を反射する能力が阻害されたことを挙げた。