35mmフルサイズのミラーレス一眼カメラ「Sitina 1」のハードウェア設計やソフトウェアのソースコードを、エンジニアのWenting Zhang氏がGitLabで公開しています。

Wenting Zhang / Sitina1 · GitLab

https://gitlab.com/zephray/sitina1

「Sitina 1」はもともとアナログの一眼レフカメラをデジタルカメラに改造するための背面パーツを作るプロジェクトでしたが、最終的には完全なミラーレス一眼レンズ交換式カメラとなりました。

レンズを取り付けたSitina 1の外観は以下のようになります。



ハードウェアの暫定的な仕様は以下の通り。

パーツ仕様SoCXilinx Zynq 7010 (2x667MHz Cortex-A9、28K ロジック セル FPGA)RAM512MB 16ビットDDR3 SDRAMAFEAnalog Devices AD9990センサーKodak/ONsemi KAI-11000/KAI-11002M/CM画面3.4インチ 480×480 高輝度DPI IPS LCD外部ポートSDスロット/USB Type-C/フラッシュ同期端子

また、以下のようなカメラ機能を搭載しています。ただし、あくまでハードウェア的に可能な機能であり、必ずしもソフトウェア的にサポートされているとは限らないとのこと。

項目仕様センサータイプ35mm Interline CCDセンサーセンサーサイズ36.0×24.0 mm有効画素数10.7MPレンズマウントアクティブEマウント静止解像度4008×2672 10.7MP 3:2
3563×2672 9.5MP 4:3 1.08X クロップ
2672×2672 7.1MP 1:1 1.27X クロップ
2782×1856 5.2MP 3:2 APS-C クロップ
2676×2007 5.4MP 4:3 APS-C クロップ
2365×2365 5.6MP 1:1 APS-C クロップ静止画フォーマットDNG (10/12/14 ビット ロスレス圧縮 RAW)
JPEG読み出し速度4008×2672で最大5FPS
4008×480で28FPS (ラインスキップライブビュー、出力用に480×320に再スケール)ビデオ録画サポートなしISO100〜6400(カラー)

Zhang氏は、組み立てムービーも用意しています。

Building an open-source full-frame CCD camera PART II - YouTube

センサーとチップ、画面は市販のパーツで自作ではありませんが、その他はすべて自分で設計したカスタムメイドの部品とのこと。



グリップのパーツはこんな感じ。



ボタン類などを接続するフレキシブル基板を組み立てています。



完成したら、グリップを組み立てます。



本体の前面ケースも取り付けます。



これは入出力用ボードです。



部品の点数が多いので、基板の組み立てにはオープンソースのプリント基板組み立て機のLumenPnPを使ったとのこと。



基板を取り付けます。



バッテリーはカスタムメイドのものですが、今後は既製品のカメラ用バッテリーを使うつもりとのこと。



バッテリーをグリップに挿入。



残りの部品を組み立ててグリップ部分を完成させます。シャッターボタンとファンクションボタンを猫の肉球のようにデザインしてあるのがちょっとしたポイントとのこと。



次に、メインボードにヒートシンクを取り付けます。



そこにイメージセンサーをセットします。



メインボードをカメラに取り付けました。



本体の背面シェルに画面をはめ込み、アクリルパネルをセットします。



背面シェルの取り付けまで済ませました。



さらに、前面のレンズマウント部分を組み立てます。



完成しました。



作例は以下の通り。クリックするとオリジナルの写真が表示されます。







Zhang氏は、sitina1を開発した理由について「このプロジェクトは、私のこれまでのプロジェクトの中で最も時間がかかるもので、かつ大量生産したり収益化したりするのが難しいものです。率直に言って、あまり賢い選択には見えません。それでもこのプロジェクトをやったのは、『楽しみ』のためです。写真や電子工作のDIYにはまっていたので、自分でカメラを作ったら楽しいだろうなと思って取りかかりました。今使っているカメラに不満があるというわけでも、自作しなければならなかったわけでもなく、ただ純粋に楽しみのためにやってみました」と語りました。