開催中の東京ゲームショウ 2024で、インテルが「カスタムPC」を強く訴求していた。振り返れば、同社が最初に「カスタムPC」というパソコンの楽しみ方を提案したのは、昨年の東京ゲームショウだったので、ちょうど1周年だ。

東京ゲームショウ 2024のインテルブース

インテルの唱える「カスタムPC」だが、もっと気楽に「自分好みのパソコン」をつくりあげていこうという提案で、いわゆる従来の「自作PC」がやや専門的な趣味であることに対して、よりカジュアルに多くの人にパソコンをつくる楽しさを知ってほしいと始まったものだ。初心者が入門しやすいというコンセプトもあるが、パソコンを使い倒しているようなゲーマーにもメリットが大きいということで、東京ゲームショウ 2024ではこれを前面に押し出していた。

例えば、既に所有しているゲーミングPCで新作ゲームを遊ぼうとした際、ハードウェアの性能が足らずに動作が厳しいというのはよくある。そこで、グラフィックスカードだけを交換したり、もっと簡単にメモリモジュールを足すだけで対応できて、パソコンの買い替えを回避できれば嬉しいだろう。カスタムPCの世界の門をくぐり、ちょっとした知識や楽しみ方を見に付けていけば、今あるパソコンでできることがどんどん広がって行くのだ。





最新ゲーミングPCや、カスタムPCに最適なPCパーツなどを展示。ゲーミングPCの試遊コーナーではリメイク版ドラクエ3の先行プレイなども楽しめた

カスタムPCでインテルは、これからチャレンジしてみたいというユーザーの手助けをするために、小学生から対象の初級から店舗接客でも使えそうな上級などパソコンに関するさまざまな知識獲得を目指せる「インテル PCマイスター」という資格制度を創設したり、カスタムPCを体験できるリアルイベント「CUSTOM PC STUDIO」を開催したりしてきた。

マイスター制度。最上位のTOPマイスターから、小学生でも目指せる初級マイスターまで資格認定を用意している

今回の東京ゲームショウ 2024ではカスタムPC関連機材の出展のほか、インテル PCマイスターの最上位資格である、「TOPマイスター」の4人を会場に招き、カスタムPCの魅力や、楽しみ方のポイントを紹介するトークセッションが行われた。

会場に集まった4人のTOPマイスター。いづれもPCパーツメーカーに所属するプロフェッショナルだ。右から順にASUSの市川彰吾氏、GIGABYTEの川村直裕氏、ASRockの原口有司氏、MSIの中島悠太氏

なお、今回集まった4人のTOPマイスターはいづれもPCパーツメーカーに所属する、いわばその道のプロだ。トークセッションの目玉として4人それぞれが作成した特別なカスタムPCを会場に持ち込み、カスタムのポイントを解説する場面もあった。既製品のパーツだけで真似できるものもあれば、ワンオフの特殊塗装でドレスアップしたPCケースで魅せるものもあるなど、カスタムPCの参考になるとともに、自分なりで自由につくれるという、楽しみ方の懐の深さを紹介していた。









ASUS市川氏のカスタムPC。あらゆるPCパーツを展開する同社ならではの、ケースから電源、メモリやれ冷却ユニットにいたるまで全てASUS製品でカスタムしたゲーミングPC。ライティングから水冷パーツのホースや冷却水の着色までインテルブルーで統一したのがコダワリ









GIGABYTE川村氏のカスタムPC。どんなゲームでも出来るよう、GIGABYTE製品を中心にとにかくハイスペックで仕上げたというザ・ゲーミングPC。またGIGABYTE製品で揃えていることで、LEDライティングの一括コントロールが容易にできる









ASRock原口氏のカスタムPC。ケース内液晶や水冷など見所は多いが、最も特別なのがPCケースの塗装。有名な塗装職人に依頼して、インテルをイメージしたメタリックブルーの塗料を調合してPCケースを塗装したという、まさに世界に1台のゲーミングPC









MSI中島氏のカスタムPC。インテリアに溶け込むパソコンをテーマに、ピラーレスケースとライティングで、内部を美しく。配線に工夫があるとのことで、よく見ると内部の配線がすっきりしているが、配線を背面に隠せるMSIの背面コネクターマザーボードを使ってこれを実現している。見栄えだけでなくエアフローにも有利だ

カスタムPCの浸透に尽力する、インテルの執行役員で、マーケティング本部長の上野晶子氏は会場で、特にゲーマーにとってのカスタムPCについて、「ゼロからパソコンをつくるのではなく、まずは所有しているパソコンの簡単なアップグレードからはじめてみて、カスタムPCを通して知識が増えて行けば、そのゲームで必要なスペック、それに足りないパーツが何であるかの切り分けが徐々にできるようになって、より自分のゲーム環境にぴったりのPCがつくれるようになっていく」と、カスタムPCが今後のゲームライフの充実にも貢献してくれることを訴える。

インテル 執行役員 マーケティング本部長 上野晶子氏。リアルイベントなどを通し、「カスタムPC」という楽しみ方の定着に手ごたえがあるそう。家族連れで賑わうショッピングセンター内で開催した体験イベントで、小さな子供たちでもカスタムPCに興味を持ってくれた様子が印象に残っているという

さらに重ねて、「ゲームの進化は常にとても早く、時間とともにハードウェアが性能不足になることは避けられないものだが、カスタムPCであれば、その都度必要なパーツを足していける」と、カスタムPCが創意工夫の楽しさだけでなく、既製品のパソコンの買い替えサイクルを超えて、最小限の投資で最大限のゲーム体験を長期間にわたり維持できるような実利を持つことも説明していた。

なお余談で、東京ゲームショウ 2024のインテルブースでは、半導体メーカーらしくテクノロジーとゲームを関連付けた展示やイベントを積極的に展開していて、例えば写真の場面はヨコオタロウ氏(エミールヘッドのみ形態+時々ゲーミングPCと合体)を招いた「AI」のトークセッションの様子

スライド画面に「多くのクリエイターの刺激になりたい」という趣旨が記載されているが、これは企画者が勝手に掲げたものであって、ヨコオ氏は、刺激になりたいとかそんなことは思っていませんし、ひっそりと目立たずAIと付き合っていきたい、だそうです。進化が急激な生成AIの感触として、クリエイターはAIの下働きの立場になるんじゃないかというお話で会場を沸かせていました