じつは「買わない方がいいアクティブファンド」の「3つの特徴」

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前回記事『「アクティブファンドはインデックスファンドに負ける」は本当か…鵜呑みにする前に知っておきたいこと』では、アクティブファンドの多くがインデックスファンドよりも成果が出にくい裏事情を、なかのアセットマネジメント代表の中野晴啓さんにうかがいました。その真意がわかったとしても、実際にアクティブファンドを選ぶには何を重視すればいいのでしょう。この記事では注意したいポイントをお聞きしていきます。

前回記事:<「アクティブファンドはインデックスファンドに負ける」は本当か…鵜呑みにする前に知っておきたいこと>

購入を避けたいアクティブファンドの特徴1:銘柄数が多い

インタビュアー川崎さちえ(以下、川崎):アクティブファンドを選ぶ際、「こういうファンドは避けた方がいい」というNGポイントはありますか?

中野晴啓さん(以下、中野さん):まずテーマ型ファンドは長期投資の対象外として、中長期の運用成果を謳うファンドであっても保有銘柄数が多いことです。アクティブファンドの運用目的は、インデックスファンドとは違う成果を狙うということ。銘柄数が多くなると、インデックスファンドに近づいてしまいますよね。それではインデックスファンドよりも高いコストを払って買う意味が薄れてしまいます。

それに、銘柄数が多くなると、その中に長期的に見て目覚ましいパフォーマンスを出すような会社があっても、その成果が埋もれてしまいます。

川崎:どのくらいの銘柄数が理想とお考えですか?

中野さん:運用スタイルにもよるので一概には言えませんが50銘柄以下のファンドが銘柄厳選型と言えるものであり、インデックスファンドともかなり違いが出てきますね。

購入を避けたいアクティブファンドの特徴2:投資スタンスが変わってしまう

川崎:ただ単に銘柄数が少なければいいということでもありませんよね?

中野さん:銘柄選択をしているのがアクティブファンド選びでは重要になってきますが、一方で必ずしもそれを重視しているファンドばかりとは言えません。むしろ相場の動向を追いかけていくアクティブファンドの方が多いのです。例えばグロース株のファンド(成長が期待できる銘柄を選択したファンド)と言っているけれど、銘柄を見たらバリュー株(業績や企業価値の割に安い銘柄を選んだファンド)になっていることもあります。そういうファンドは長期投資に向きません。スタイルが変わるということは、最初の約束と違っているからです。

川崎:投資をする方も、最初のスタイルに納得したからそのファンドを買っていますからね。

中野さん:そもそもスタイルが変わるということは、相場を追いかけているということです。グロースよりもバリューの方が成果が出そうと考えて、相場をあてようとするからスタイルが変わるわけです。短期的な利益を目指しているわけで、長期的な運用を目指すならそのようなファンドは好ましくないと思いますね。もちろん投資する側が短期で見るのか、長期で見るのかで選ぶファンドは違ってきます。でもNISAは長期的な視点を持つのが前提になっていますから、スタイルが変わらないファンドを選びたいですね。

購入を避けたいアクティブファンドの特徴3:銘柄の入れ替えが頻繁

川崎:他に購入を避けたいアクティブファンドの特徴はありますか?

中野さん:銘柄の入れ替えが頻繁に行われているアクティブファンドです。これも相場を追いかけているからですね。その時の話題のテーマで、利益が出そうな銘柄に入れ替えたり。

川崎:銘柄の入れ替えは何を見ればわかりますか?

中野さん:運用報告書に銘柄の入れ替えについても記載されているので、そこで確認ができます。入れ替え率が2割くらいなら長期保有を考えていると思いますよ。逆に全く入れ替えをしていないのは、おかしいと思った方がいいですね。なぜなら、運用する側も銘柄選びを失敗することがあるからです。判断を間違えたと思ったら入れ替えをしなければならないので、2割ほど間違えるのは想定内だと思います。

運用者の顔が見えるかどうかも重要ポイント

中野さん:運用報告書とは別に、運用レポートもあります。運用報告書は決算ごとに発行されるのですが、運用レポートは毎月、出されるもの。このレポートを見ると、運用会社の考え方がよくわかります。マーケットの動向を、ただ数字を並べて説明するレポートもあれば、運用者が顔を出して強いメッセージを出すレポートもあります。後者の方が運用会社や運用者のファンドや投資をしている人への思いが伝わりますよね。

川崎:運用レポートでは相場の振り返りや成績がわかりますが、もっと違う部分を見るのも重要になってきそうですね?

中野さん:弊社でも運用レポートを毎月出しています。運用者が投資をしている会社に訪問をして担当者と話をしているので、その時の様子や運用者がどう感じたのかをレポートすることもありますよ。ちょっとした感想文のようなイメージですが、投資家からすれば運用者の仕事ぶりが見えますし、投資をしている会社のことも理解できます。運用者と投資家の距離が近づくようなレポートを出しているならば、おそらく投資家のことをきちんと考えている運用会社、そしてアクティブファンドなのだろうなと私個人は考えています。

数あるアクティブファンドの中から、「これ!」と思うものを選ぶのはなかなか難しいことです。でも今回紹介していただいたような見極め方もあります。ファンド選びで悩んだら、今回のポイントを参考にしていくと、ある程度絞り込みはできそうですね。

なかのアセットマネジメント代表の中野さんへのインタビューは、次で最終回を迎えます。個人投資家があまり知らないけれど、実はとても重要なことがあるそう。

次回の記事<日本の運用会社は「大手の金融機関が親会社になっている」という大問題>では、それをうかがっていきます。

日本の運用会社は「大手の金融機関が親会社になっている」という大問題