せっかく「新NISA」を始めたのに、口座を開いた金融機関では「買いたい銘柄」が買えなかった…そんなとき、どうする

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2024年の時点では、NISA口座は成人1人につき1口座。複数の金融機関で口座を持つことはできません。そのため、2025年には今NISA口座を開いている金融機関以外を活用したいと思ったら、金融機関を変更する必要があります。そもそもどういう理由で変更するのか、そしてどのような金融機関を選ぶのがよいのかを、なかのアセットマネジメント代表の中野晴啓さんにうかがっていきます。まずはNISA口座の金融期間変更の手続きの流れを見ていきましょう。(取材:2024年8月2日)

前回記事『新NISAで、じつは「つかわない方が良い制度」があった…!』より続く。

NISA口座の移し方

2024年にNISA口座を開いていた金融機関から違う金融機関に口座を移す手続きは、2024年10月1日から始まります。手続きの流れは大きく4つです。

1:現在NISA口座を開設している金融機関での手続き

2024年にNISA口座を開いた金融機関に申し込みをして、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」のいずれかの書類を取り寄せます。ネット証券の場合にはオンラインで請求できますが、ゆうちょ銀行などの銀行では窓口での手続きをするケースが多いです。

2:2025年にNISA口座を開きたい金融機関に申込書類を請求する

2025年にNISA口座を開く金融機関に、NISA口座開設の申込書類を請求します。オンラインで請求できる場合が多いです。

3:2025年にNISA口座を開く金融機関に必要書類を送る

この時点で、2025年にNISA口座を開く金融機関のNISA口座申込書(届出書)と、2024年にNISA口座を開いていて金融機関から取り寄せた「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が手元にあることになります。この書類を2025年にNISA口座を開く金融機関に送ります。NISA口座開設にはマイナンバー登録が必要なので、NISA口座申込書に同封されているマイナンバー通知届出書も一緒に送ります。

4:変更手続き完了

NISA口座を変更するための書類を、金融機関と税務署が審査します。審査が終わったらNISA口座開設は完了です。

手続きが始まるのは10月1日。2025年の年始取引に間に合わせるには早めの手続きを

NISA口座の変更は10月1日から始まります。2025年の年始取引に間に合わせたいと思うならば、早めの手続きをした方がよいでしょう。ただ2024年以内に手続きができないからといって、2025年に新しい金融機関での取引ができないわけではありません。2025年になっても変更受付はしてくれますが、手続きは2025年9月末までとなっています。2025年10月1日からは、2026年分の金融機関変更が始まるからです。

NISA口座を変更する理由やメリット

ここからは、2025年は2024年と違う金融機関でNISA口座を持ちたいと思う理由や金融機関を変更するメリットを、中野晴啓さんにお聞きしていきます。

インタビュアー川崎さちえ(以下、川崎):NISA口座を変更する大きな理由は何とお考えですか?

中野晴啓さん(以下、中野さん):2023年の後半はNISAの話題が多かったので、「どうやらNISAというのが始まるらしい。◯◯さんもやるみたいだから自分も」という感じで、NISAをきちんと理解する前に口座を開いた人も少なくないと思います。でも投資を始めてみたらいろいろな情報が入ってきて、この商品(投資信託など)を買いたいと思うこともあったでしょう。でもいざ買おうと思っても、NISA口座を開いた金融機関では扱っていない商品、なんてこともありました。その時はじめて、NISA口座は1つしか持てないことに気づくパターンが多いようですね。もっとたくさんの商品から選びたい、買いたい商品があるという理由で、NISA口座を変更しようと考えるのでしょう。

川崎:変更する場合、中野さんならどのような金融機関がいいと思いますか?

中野さん:ネット証券ですね。もはやプラットフォームとなっているので、商品がたくさんあって選びやすいからです。すでに買いたい商品が決まっているならピンポイントで買えますが、決まっていない場合でも、これから探すことができます。

また個別株を持ちたいという声もあり、ネット証券であれば買うことができます。残念ながら銀行では個別株は買えないですからね。

2024年に購入した商品は新しい金融機関に移すことはできない

川崎:NISA口座を変更する際に気を付けることはありますか?

中野さん:変更する前の金融機関で買ったNISA口座の商品は、変更後の金融機関にNISA口座のまま移すことはできません。ただ、売らない限り、前の金融機関のNISA口座として保有することができます。運用期間は無期限、もちろん非課税ですから、どうしてもお金が必要にならない限り、そのまま持っていればいいのではないかと思いますね。

2024年10月1日からNISA口座の金融機関の変更手続きが始まります。NISAがスタートして9ヶ月経過していろいろな情報が出てきていますから、吟味をしながら決めていけるとよさそうです。

次の記事<「アクティブファンドはインデックスファンドに負ける」は本当か…鵜呑みにする前に知っておきたいこと>ではNISAの商品について。「アクティブファンドがインデックスに負ける!?」という話をお聞きしていきます。

「アクティブファンドはインデックスファンドに負ける」は本当か…鵜呑みにする前に知っておきたいこと