パニック症の発作「パニック発作」って何? 「このまま死ぬかもしれない」発作を徹底解説!

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パニック症は、パニック発作をくり返す病気です。パニック発作は、身体的な原因はないにもかかわらず、さまざまな不快な症状が突然生じるもの。パニック症の本質は、「このまま死ぬかもしれない」という強い恐怖感・不安感にあります。恐怖や不安は、危険を避けて生き延びていくために必要なものですが、行きすぎれば生活に支障をきたします。発作を避けようとしてどんどん「できないこと」が増えていけば、自己否定感が強まり、うつ状態に陥ることもあります。そんな「パニック症」の最新情報や、正しい理解のための本『名医が答える! パニック症 治療大全』より一部抜粋してお届けします。

パニック発作とは、どのようなものですか?

突然、激しい身体症状と、死の恐怖を感じるほどの強い不安が生じ、長くても30分ほどで自然におさまっていく発作的な症状を「パニック発作」といいます。

パニックという言葉には強い恐怖感という意味があります。パニック発作は、さまざまな現れ方をします。どれもめずらしいものではありませんが、どのような症状であれ、「このままどうにかなってしまうのでは」という強い不安、死の恐怖を伴うような激しい現れ方をします。パニック発作はたんなる身体症状ではなく、その本質は強い不安、死の恐怖なのです。

パニック発作の特徴は、次のようにまとめられます。

・複数の症状が同時に生じるパニック発作では、複数の症状がほぼ同時に現れ、同じようなタイミングで症状が鎮まっていきます。

どのような症状が現れやすいかは人によって異なります。たとえば、これといった理由もないのに急に心臓がドキドキしはじめ、不安を感じるうちに今まで経験したことがないほどの動悸や胸の苦しみ、息苦しさが強まっていくという人もいれば、食あたりなどの原因があるわけでもないのに、吐き気、嘔吐など消化器症状などが生じる人もいます。

・検査をしても異常がみつからないパニック発作でみられる身体症状は、体に異常があるときにも起こりうる症状です。しかし、パニック発作の場合、検査をしても、異常がみつかりません。

・命を落とす危険はない国際的な診断基準(DSM-5-TR)では、体に異常はないにもかかわらず、こうした症状のうち4つ以上を認め、急激に始まり数分以内にピークに達するものがパニック発作と定義されています。

パニック発作であることが確かなら、死を覚悟するような激しい症状でも、そのまま死に至る危険性はありません。症状が激しく意識を失うこともありますが、必ず短時間のうちにおさまります。

「パニック」と「パニック発作」の違いは?

パニックという言葉は、さまざまな使われ方をします。対処しきれない事態を前に冷静さを失い、あわてふためく状態を「パニックになった」、あるいは「パニクった」などと表現するのは、日常的によくあることでしょう。「癇癪」と同じような意味で使われることもあります。幼い子どもや、発達障害のある人などがなんらかの理由で感情や行動がコントロールできなくなり、大声を出したり、暴れたり、興奮して混乱した状態になることを「パニックを起こす」などと言ったりもします。

一方、パニック発作は、これといった理由もないまま突然出現するものです。安静にしているときや、ときには就寝中に起こることもあります。

「パニック発作」「パニック症」という言葉に、冷静さを失いやすい人、感情や行動のコントロールが難しい人というイメージをもつ人もいるようです。しかし、いわゆる「パニック」とは区別してとらえる必要があります。

続きは<「息苦しい」過呼吸は、むしろ息の吸いすぎ!? パニック症の発作でも知られる過呼吸の真実>で公開中。

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