【竹輪 次郎】自称「盗撮王」逮捕は氷山の一角、学校内での被害も多発…SNSに蔓延る《盗撮魔たち》の「ヤバすぎる実態」

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盗撮王」が逮捕

「チーム盗撮」「盗撮会」などの名称のLINEグループを主催し、自ら「盗撮王」と名乗る静岡県湖西市の会社員金沢勇太容疑者(23)が逮捕された。金沢容疑者は浜松市内の商業施設で女性のスカートの中を盗撮して、画像をLINEグループに投稿。さらにSNSアカウントにも投稿した疑いが持たれているという。

警察はLINEグループでのやりとりを公開。金沢容疑者は仲間を誘って、互いに盗撮画像を共有していた。自らを「盗撮マスター」「S級盗撮魔」などプロフィール上で紹介し、自身のスマートフォンには盗撮したとみられる画像がおよそ1200点保存されていたという。

闇バイトなどの犯罪のリクルートがSNSで行われていることは近年知られるようになったが、盗撮のコミュニティもSNSを入口としてまん延している。一方で海外のサーバーを拠点とする盗撮サイトも警察の手がほとんど及んでいない。世間の意識が高まっても、新しい法律が出来ても歯止めがきかないのはなぜなのか。増え続ける盗撮の闇に迫る。

「現役です。校内鳥やっています、交換しませんか」

今回逮捕された金沢容疑者のグループは28人が参加。LINEグループを使って会話をして「あー盗撮してぇ」「なんか質問ある」「共有しよみんなで」「なんか質問ある」などとやりとりを続け、互いの画像の共有や盗撮のやり方を教えあっていた。被害場所は全国20か所におよぶ可能性があるという。

かつてはインターネットの掲示板に集結するのが一般的だった盗撮グループ。どうやら最近はSNS、とくにXなどを使って、仲間が集まることが多いようだ。

そこではこんな隠語が使われる。

「鳥師です。生パン販売します」「完全オリ、sからcが中心に販売しています」「現役です。校内鳥やっています、交換しませんか」。

鳥師とは撮り、つまり盗撮師という意味。生パンは、スカートの中を撮影した画像のなかで、直接下着が撮影できているもののこと。オリとはオリジナル作品の意。投稿者が自ら撮影した新しい盗撮画像を指す。sは小学生、cは中学生。盗撮のなかでも、児童ポルノ法違反にあたる犯罪性が高いものだ。校内鳥とは、学校内で盗撮した画像のこと。現役の生徒が撮影したものも多く出回っている。なかには女性でありながら、鳥師を名乗っている人物もいた。

SNSの投稿主は、「DMください。そのあとはLINEグループに招待します」などと書いている。上記ケースであれば、X上でダイレクトメッセージのやりとりをしたあと、IDを交換してLINEグループで盗撮が好きなメンバーだけで画像共有や情報交換ができるという形だ。LINEに限らず、テレグラムやシグナル、カカオトークなどの他のメッセージアプリを使うケースも仕組みはほぼ同じだ。

「文化祭パック販売中」…盗撮画像を直接販売するケースも

なかにはサンプル画像をいくつもポストして、直接売買するケースもある。学校内で盗撮したものを販売しているという書き込みにはこんなことが書いてあった。

「文化祭パック販売中、当方学校内で鳥をしています。教室や階段など。学校内鳥(盗撮)で身バレのリスクが高いので料金を高く設定しています」。

文化祭パックは、スマートフォンを床起きしてスカートの中を撮影したものだという。料金は2000円。スマホ決済を使い払うようになっていた。どのケースも、SNSで表立ってやらず、なるべく人目に触れない形でやりとりをするのが特徴だ。

こうしたやりとりは、SNSの運営者も把握しているので、アカウントの凍結を頻繁に行っている。それでも彼らは新規にアカウントを増殖して「アカウント、バン(凍結)になりましたが、裏垢でスタートしましたので良かったらダイレクトメッセージください」などと書いて、仲間募集を怠らない。いたちごっこだ。

投稿主にとっては、メッセージアプリなどでメンバーが集まり接触さえ出来ればあとは凍結されようが構わない。グループのメンバーも増やしていける。販売をしたい盗撮犯にとっても、仲間を増やしたい盗撮犯にとっても便利で安全な方法なのだ。その存在は逮捕されない限り、永遠に分からないからだ。

取材・文/竹輪次郎(ジャーナリスト)

後編記事『「カメラがある場所を教えられてもわからない」…勤勉すぎる盗撮のプロたちが実践する「卑劣な撮影手口」』に続く。

「カメラがある場所を教えられてもわからない」…勤勉すぎる盗撮のプロたちが実践する「卑劣な撮影手口」