Appleのオープンイヤー型イヤホン「AirPods 4」のノイズキャンセリング性能をソニーの「WF-1000XM4」と比較してみた
2024年9月20日、Appleのイヤホン「AirPods」の第4世代モデルである「AirPods 4」が発売されました。このイヤホンの特徴はなんといってもオープンイヤー型(耳を完全にはふさがない設計)なのにアクティブノイズキャンセリング機能を搭載しているという点で、カナル型のようにイヤーピースを耳に突っ込む装着スタイルが苦手な人でも「ノイキャン」を楽しむことができます。そんなAirPods 4を手に入れたので、2021年に発売されたソニーの王道ノイズキャンセリングイヤホン「WF-1000XM4」と、ノイズキャンセリング性能を比較してみました。
https://www.apple.com/jp/airpods-4/
◆目次
1:接続処理編
2:比較検証編
◆1:接続処理編
AirPods 4はiPhoneだけでなくAndroid等でも利用できますが、今回はiPhoneに接続します。まずiPhoneのBluetoothをオンにしておきます。
オンにしたiPhoneの近くでAirPods 4のケースを開くと、接続処理が始まります。
iPhoneで「接続」をタップ。
使い方のガイドが表示されるので「スキップ」をタップ。
「パーソナライズされた空間オーディオ」の設定で今回は「開始」をタップ。iPhoneのカメラで自分の顔を撮影し、サウンドに奥行きを持たせる「空間オーディオ」を個人に最適化させる設定です。
「続ける」をタップ。
「取り込みを開始」をタップ。
インカメラが起動するので自分の顔を映し、顔を左右に動かします。
設定が終わったら「完了」をタップします。
周囲の環境に応じて音量を調整する「パーソナライズされた音量」は「オン」に。
会話検知もオン。
「Siri」は「今は使用しない」を選択。
通話発信者と通知を読み上げる機能は特に要らないので「カスタマイズ」をタップ。
「今はしない」を選択します。
「頭を動かしてAirPodsをコントロール」は「オンにする」を選択。
これで設定完了。「続ける」をタップします。
Apple Musicのプロモーションが表示されるので「今はしない」をタップ。
後は端末のBluetooth設定等から設定内容を見直すことができます。今回の記事では「ノイズキャンセリング」だけに焦点を当て、他の機能は後日レビューします。
◆2:比較検証編
比較のために用意したのが、GIGAZINE編集部員が普段使いしている「WF-1000XM4」です。WF-1000XM4はカナル型で、ポリウレタンフォーム素材を使用した高い遮音性と密閉性を備えたイヤーピースが装着されているのが特徴。一般的なシリコン製のイヤーピースとは違い、反発力があり、耳に入れたらふわっと広がって耳穴に密着するのが特徴です。今回はこのWF-1000XM4とAirPods 4を持ち歩いて色んなシチュエーションで付けてみました。
まずはバスターミナル付近で装着してしばらく立ち止まってみました。「AirPods 4」を耳に着けるとすぐに「デロン」という音が鳴って周囲の騒音がスンっと小さくなっていきます。音の消え方は見事なもので、オープンイヤー型でこれほどまでのノイズキャンセリングができるのか、と正直驚きです。
WF-1000XM4と比べたらよくわかるのですが、AirPods 4は周囲のノイズの音程を高くすることでノイズを聞こえにくくしている節があります。AirPod 4のノイズキャンセリングが起動すると周囲の「ゴーッ」という中低音が「シャーッ」という高音のノイズに切り替わるのが感じ取れます。
バスターミナルで聞こえる音だと、AirPods 4とWF-1000XMの両方でウインカーのカチカチ音、乗用車の排気音、遠くで鳴る電車のブレーキ音などが聞こえにくくなります。バスの排気音のような「低くて響く音」は両方ともノイズキャンセリングを貫通して聞こえてきました。また両方とも耳に当たる風の音がゴーゴーと鳴る点が気になりました。評価としては、どちらも同じくらいノイズを消しているな、という印象。ただ、WF-1000XM4は図書館に入ったときのような「静けさ」を時折感じるのに対し、AirPods 4は常にシャーッというホワイトノイズが鳴っているように聞こえるのが違いです。
AirPods 4を着けて上記の環境でクラシック音楽を聞いてみると、トランペットやフルートの中高音の響き、コントラバスやチューバのパリッとした低音がややくぐもって聞こえるような感じがしましたが、正直に言ってWF-1000XM4とほとんど違いはありません。次に講談を聞いてみるとこれは全く違います。AirPods 4全体的に「騒がしく」なり、話し手の声が大きく音割れしているようになり、拍手の破裂音が強調されて耳にダイレクトに響いて耳が少し痛くなります。特にしゃべりに拍手が重なるようなシーンだと話し手が何を言っているのかほとんど聞こえなくなるのが残念な点。一方でWF-1000XM4は高音から低音まで優しく丸い響きになり、拍手の中で話し手の声がハッキリ浮き上がるような聞こえ方をします。
今度は川のせせらぎを聞きました。AirPods 4は家庭の蛇口から水を流している時のような高音の「シャー」という音になり、WF-1000XM4はお湯をコップに注いでいるときのような中低音の響きになる感じ。「どちらが実際の音を正確に再現しているのか」と問われると、どっちも正確ではないというのが答え。AirPods 4は周囲の音程を全体的に引き上げている感じで、WF-1000XM4は高音と低音を消してひとかたまりの中音にまとめているような印象です。
次は駅併設のレストラン街へ到着。ここでも違いがハッキリとわかり、AirPods 4はトレイがカチャカチャ当たる音や店内のアナウンス、ヒールのカツカツという音など「高い音」が強調されて聞こえます。一方でエアコンの音や台車の音など「低い音」はしっかり消されている印象。
イヤホンを着けている時に物を食べると、耳の中で「モッチャモッチャ」と物をかむ時の音が聞こえて気になることがあります。AirPods 4とWF-1000XM4の両方でハンバーガーを食べてどう聞こえるか確かめてみましたが、正直どちらも印象は変わらず。それよりも気になったのは包み紙がカシャカシャ鳴る音で、AirPodsはやけに強調されて聞こえるのでハッキリ言って「うるさい」です。周囲の話し声や歩行者の音は両機種ともほどほどに消す感じで、完全に音が消え去ることはありません。ただし全体的にWF-1000XM4の方が周囲の音をしっかりめに消してくれて、外したときに「周囲はこんなに騒がしかったのか」と感じるほどですが、AirPodsは常に周囲の何かしらの音がざわざわと鳴っている感じで外しても「こんなもんだよね」という感想。
今度は電車に乗ってみます。乗る前にホームで録音した音が以下から聞けますが、何も着けていない状態だと「ゴーッ」という電車のモーター音がよく聞こえるのがわかるはず。AirPodsはこういった低くてゴツい音を「シャーッ」という高い音に変えて音を消そうとしていました。一方のWF-1000XM4は高音と低音ノイズを削って「ゴーッ」という音一本にまとめようとしている印象を受けます。この環境下で音楽を聞いてみても、両者大して違いはありませんでした。
電車に乗っているときは、AirPodsはいわゆる「ガタンゴトン」という音が強調されて耳にダイレクトに響いてきたり、風が当たる音が「モワモワ」と奇妙な音に変換されて聞こえてきたりしたのが気になりました。音楽を聞くと全く気にならなくなりましたが、音楽を聞かずにノイズキャンセリングだけ楽しんでおきたいという瞬間もあるのでやはり懸念が残るところ。
何度か着けたり外したりして気になったのは、WF-1000XM4は耳にねじ込む装着方式なので耳が痛くなったという点です。もちろん普段使いで何度も着けたり外したりすることはありませんが、長時間着けていると少し痛みを感じることがあります。その点AirPods 4は優秀で不快感はほぼなし。感覚としては「耳穴にカポンとはめただけ」という肌触りなのですが、しばらく歩いてもずれ落ちることはありませんでした。
ノイズキャンセリング機能の優劣では、個人の感想としてはWF-1000XM4に軍配が上がりますが、それでもAirPods 4の総合的な評価は「オープンイヤー型にしてはかなりすごい」です。比べなければハッキリ言ってAirPods 4でも十分で、街中、カフェ、電車内などあらゆる場所でノイズキャンセリングが活躍するのは間違いなし。オープンイヤー型かつノイズキャンセリング搭載ワイヤレスイヤホンを求めていて、iPhoneユーザーならば選んで損はないはずです。
アクティブノイズキャンセリング搭載AirPods 4の価格は、税込2万9800円です。
AirPods 4を購入 - Apple(日本)
WF-1000XM4の価格はAmazon.co.jpで税込3万978円です。なお、記事作成時点では後継モデルの「WF-1000XM5」が最新のモデルとなっています。
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