小林製薬の紅麹コレステヘルプ

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 小林製薬(大阪市)の「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントを巡る問題は18日、厚生労働省が原因物質を発表し、一つの区切りを迎えた。

 同社の健康被害の公表から約半年。サプリの利用者からは改めて、同社の衛生管理への批判や、今後の体調悪化への不安を訴える声が上がった。

 「口に入れるサプリの製造工場に青カビがあったなんて信じられない」。約3年にわたって同社のサプリ「紅麴コレステヘルプ」を飲んでいた東京都渋谷区の女性(63)は、そう憤った。

 厚労省はこの日、工場での製造段階で青カビが混入し、腎障害を引き起こす「プベルル酸」が生成されたことが要因と発表した。女性は「なぜ青カビが混入したのか究明してほしい」と求めた。

 摂取後に腎機能が悪化して今年3月に入院した名古屋市の40歳代女性は、今も通院と服薬を続ける。医療費は同社が負担するが、慰謝料などについては「対象になるか精査中」と言われて約1か月が過ぎた。原因特定を受け、「早く因果関係を認め、補償に見通しをつけてほしい」と話した。

 大阪府の40歳代女性は「腎臓の機能を示す数値は70歳代の母親より低いまま。将来は透析を受けることになるかもしれず、小林製薬はこの先、生じる被害についても責任を取ってくれるのか」と不安を訴えた。

 厚労省の調査を踏まえ、製品の回収と汚染経路などを調べている大阪市は、今秋にも今回の健康被害を「食中毒」と断定したうえで、プベルル酸の混入経路や時期を推定する。来年3月をめどに最終的な調査結果をまとめる方針だ。

 小林製薬は18日、「現在も入院中、治療中の方の一刻も早い回復をお祈りするとともに、多大なるご心配、ご迷惑をおかけし、深くお詫(わ)びする。原因究明に最大限、協力する」とのコメントを出した。

腎障害疑い死者6人 WG初会合

 自治体から報告された健康被害情報を分析、評価するワーキンググループ(作業部会)の初会合が18日、厚生労働省内で開かれた。

 会合では、プベルル酸が含まれるサプリを摂取した可能性が高く、腎障害を発症したり、その疑いがあったりする死者が6人いることが示された。ただ、サプリ摂取と死亡との因果関係は明らかになっていない。

 今後、部会ではプベルル酸について、食品の取り扱いなどについて定める食品衛生法上の基準の策定が必要かどうかも検討する。

 部会は、腎障害に詳しい有識者ら4人で構成し、座長には新潟大学の曽根博仁教授が就いた。