ガリレオ探査機撮影(左)とジュノー探査機撮影(右)。27年で変化が起きています
Image: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS

木星の第1衛星イオ。地球から7億4000万km以上も離れたこの星で、私たちが知らない間に驚くべき変化が起きていました。

衛星イオで新火山発見

衛星イオの表面において、かつては平坦で何もなかった場所に、巨大な新しい火山が発見されました。この火山は複数の溶岩流と火山堆積物を伴い、285平方km以上の地表を覆っています。

東京23区の面積が約620平方kmなので、その半分弱と考えると、いかに大きいかがわかります。火山は2024年2月に、NASAのジュノー宇宙探査機が高度2,530kmからフライバイ(接近飛行)した際に確認されました。

ジュノーに搭載されているカメラJunoCam(ジュノカム)は、人間の目で見える光の範囲を使用して画像を撮影します。今回の火山発見に関する画像は、ベルリンで開催された惑星科学の会議「Europlanet Science Congress」で初めて公開されました。

イオはこれまでに発見された中で最も火山活動が活発な天体ですが、今回火山が発見された場所は、1997年にガリレオ探査機によって撮影されたときには、何もない場所として捉えられていました。

政府および民間宇宙産業向けに宇宙カメラシステムを設計・運用しているMalin Space Science Systemsで、JunoCamプロジェクト上級マネージャーを務めているマイケル・ラヴィーン氏は述べています。

「最近のJunoCamの画像では、1997年以降に何もなかった場所に形成されたと考えられる大きくて複雑な火山構造など、イオの多くの変化が見られます」

画像から見えるイオの地表

画像で確認できる火山の横の赤い染みは、硫黄が空中に噴出して再び地表に降り積もったものだと言います。周囲に見える灰色の丸い堆積物は、イオの表面から蒸発した物質が再凍結したもので、それぞれ100km以上にわたって広がっています。

イオは興味深い天体ですが、地獄のような環境の場所かもしれません。溶岩湖のような場所の中に、島や山々があることが検出されています。ダース・ベイダーが城を立てていた惑星ムスタファーみたいな感じなんでしょうか…。

地球の理解にも役立つ情報の収集に繋がるか

NASAは、2011年にジュノー宇宙探査機を打ち上げました。2016年に木星に到着して以来、木星の周りを53日間の軌道で周回し、ガス巨星である木星とその衛星(火山のイオや氷に覆われたエウロパなど)を調査しています。JunoCamからのデータは一般に公開されており、誰でも木星やその衛星の画像を作成できます。

火山活動が活発であるイオ。約400の活火山があり、地球の月よりもわずかに大きいサイズの星です。イオをより深く研究していくことで、山などの地形がどのように形成されていくのか、その過程やメカニズムを理解する手がかりを得られる可能性があり、さらなる調査が期待されています。

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