今週の日経225先物は、日米金融政策の行方に市場の関心が集まりやすいなか、米雇用関連指標を睨んでの相場展開になりそうだ。8月30日の米国市場では、NYダウが連日で史上最高値を更新した。朝方発表された7月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.2%上昇し、市場予想と一致した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数も0.2%上昇だった。前年同月比では2.6%上昇と予想を下回っており、9月の米利下げ観測を後押しする形だった。

 米国は9月2日がレイバーデーで休場となる。週末8月30日は3連休を前に持ち高調整の売りでNYダウは下げに転じる場面もみられたが、利下げ観測が支えとなってアマゾン・ドット・コム やインテル などが買われ、終盤にかけて指数を押し上げていた。

 23日の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)ではパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演し、次回9月FOMC(連邦公開市場委員会)での利下げを強く示唆した。これを受け米長期金利が低下する一方、為替市場では円買い・ドル売りが強まり、週明け26日の日経225先物は一時3万7790円まで売られた。ただし、円相場の落ち着きを背景に、翌27日には前日の下落分を吸収。その後は、エヌビディア の決算を控えて膠着感が強まった。

 28日に発表されたエヌビディアの決算は売上高見通しが予想を上回ったものの、同社株が時間外取引で一時8%ほど下落したことで、29日の日経225先物は3万7900円まで売られる場面もあった。だが、下へのバイアスは強まらず、29日の米国市場で波乱の展開が避けられたこともあり、30日の日経225先物は一時3万8830円まで買われた。

 週末の上昇は、月末のドレッシング買いに伴う断続的なインデックス買いの影響があったとみられるが、心理的な抵抗線として意識されていた75日移動平均線(3万8630円)、13週線(3万8590円)、26週線(3万8700円)を上回る形となった。今回の急落局面で割り込んでいた水準を1カ月ぶりに上回ってきたことにより、需給状況が改善しよう。

 また、東証プライムの売買高は連日で13億株台が続いていたが、29日に16億株、30日には13日以来の20億株に膨らんだ。需給状況が改善するなか、30日の取引終了後のナイトセッションではこれら抵抗線を上回って推移し、3万9000円を回復した。ボリンジャーバンド+1σ(3万8980円)を上回ってきたことで、+2σ(4万0810円)とのレンジに移行する可能性がある。また、急落局面で低下していたバンドは、足もとでは上向きで推移しており、バンドに沿ったリバウンドが意識されやすい。

 今週の米国では3日に8月ISM製造業景気指数、4日に7月JOLTS求人件数、地区連銀経済報告(ベージュブック)、5日に8月ADP雇用統計、8月ISM非製造業景気指数、6日には8月雇用統計の発表などが予定されている。米経済のソフトランディング期待を支える内容となるかが注目される。ADP雇用統計の結果を受け、週末の雇用統計への警戒感が強まる可能性もありそうだ。

 日経225先物は+1σ水準の攻防から、オプション権利行使価格の3万8625円から3万9625円のレンジを想定する。75日線が支持線として意識されやすく、同水準に接近する局面では押し目狙いのロング対応となろう。一方、同線を明確に下回って推移するケースでは、3万8500円~3万8600円辺りでの底固めになりそうだが、ショートは避けておきたい。

 また、来週末には先物・オプション特別指数算出(メジャーSQ)が控えている。3万9000円を上回っての推移となれば、ヘッジ対応のロングが強まる可能性がある。