石破茂氏

写真拡大

「乱立」「混戦」「暗闘」――。今月14日、岸田文雄首相(67)が退陣を表明したことで、来月の自民党総裁選は一気に無秩序状態へと突入した。これまで総裁選の度に支持を集めながらも、4度落選している石破茂元幹事長(67)の周囲が明かす弱点とは――。

 ***

【写真】「わぁ、こんなにきれいな人がこの世にいるのか!」 石破氏は慶大時代、妻・佳子さんにひとめぼれしたという

 いざ総裁選が本格的に始まれば、世間から高い支持を集める候補となろう。報道各社の世論調査で「次の首相にふさわしい政治家」1位の常連ながら、これまで4度も落選している石破茂氏である。

 そもそも国民からの圧倒的な人気を誇りながら、なぜ宰相のイスに座ることがかなっていないのか。その謎を解くヒントは、7月1日夜に行われた会合にあった。

石破茂

“飲めば飲むほど飲みに行きたくなくなる”

 東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京にある中華料理店「花梨」。その個室で、石破氏は菅義偉前首相(75)、武田良太元総務相(56)の二人と卓を囲んでいた。翌日の新聞各紙は、〈秋の総裁選について意見交換したとみられる〉(7月2日付読売朝刊)などと報じたが、実際のところは大きく違うという。

「会合は2時間ほどでしたが、石破氏の口から、総裁選についての具体的な話は出なかったそうです」

 と明かすのは、政治ジャーナリストの青山和弘氏。

「折も折、石破氏が総理経験者の支持を取り付けるため頭を下げるのかと思いきや、母校の慶応大時代は頑張って勉強したといった昔話が始まってしまい、菅・武田の両氏はズッこけてしまったそうです」

 下戸の菅前首相が終始、聞き役に徹する有様だったと振り返るのは、さる党関係者だ。

「岸田・麻生連合の主流派に対抗心を燃やす菅さんは、石破支持を選択肢の一つとして考えていましたが、肩透かしを食らった格好です。しかも石破さんから打診されたにもかかわらず、店選びから支払いまでやったのは菅さんだったとか。菅内閣で入閣し最側近を自任する武田さんは、石破さんについて“飲めば飲むほど飲みに行きたくなくなる”と憤っていましたよ」

“本を読みたい”

 これまでも石破氏は、毅然と正論を述べ政策通である一方、党内における仲間づくりが下手とされてきた。

 先の関係者はこう続ける。

「今回も推薦人集めに苦戦していましたが、プライドの高い石破さんは自ら頭を下げることをしないのです。あの菅前総理だって、総裁選に出た時は自ら議員会館を回って名刺を配り歩いていましたが、石破さんは“人と会う時間があったら本を読みたい”と言ってしまう人ですから」

 石破氏本人から支援を求められたという衛藤征士郎元衆院副議長(83)は、

自民党最大の危機にあって、石破さんは“岸田政権を支えないといけない”と常々言っていましたから、あの時期(菅・武田会合)は総理に配慮していたのでしょう。これからはもう吹っ切れて、また菅さんにも武田さんにも会うでしょうし、そうなったら頼みますってやるでしょう。国のトップとして、憲法改正を実現できる男だと思います」

 そう庇ってみせるが、石破氏とは新進党時代からの盟友である笹川堯(たかし)元総務会長(88)に聞くと、

「総理総裁になるためには、死に物狂いで汗をかき、説得に回らなきゃ話にならない。その姿を見れば自然と人がついてくる。そういうことが石破君は苦手といわれてきたけど、国民の期待が大きいのはありがたいことであり、応えなければいけません」

 田園の稲穂が実る時期に行われる総裁選。はたして石破氏は殊勝に頭(こうべ)を垂れることができるか否か――。

関連記事【「キャッチフレーズを書け」と記者に迫り大迷惑 “パワハラ”イメージを変えたい茂木敏充幹事長】では、パワハライメージを払拭しようと躍起になる茂木幹事長の直近の動きについて報じている。

「週刊新潮」2024年8月29日号 掲載