高市早苗氏

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「乱立」「混戦」「暗闘」――。今月14日、岸田文雄首相(67)が退陣を表明したことで、来月の自民党総裁選は一気に無秩序状態へと突入した。各種調査で「首相にふさわしい政治家」として上位に名前が挙がることも多い、高市早苗安全保障担当相(63)だが、党内では“高市アレルギー”の若手議員も多いといい……。

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 われこそが自民党の正統派、保守本流の政治家である。かような自負を持ち、ポスト岸田の座を狙うのが高市早苗氏だ。

 報道各社の世論調査で高市氏は、石破茂氏(67)、小泉進次郎氏(43)らに次ぐ形で「首相にふさわしい政治家」として上位に名が挙がる。

高市早苗

 そんな彼女は、今月17日に地元・奈良で行われた「高市早苗議員を内閣総理大臣にする奈良の会」での様子を、SNSで以下のようにつぶやいた。

〈1300人集会の予定でしたが、約1600人もの参加者の方々に加え、スタッフ100人が舞台裏などで講演を聴いて下さいました〉

 たしかに投稿された会場の写真を見ると、満員の聴衆に囲まれている。

「安倍イズム」継承者であることをアピール

 壇上には、奇しくも奈良で非業の死を遂げた安倍晋三元首相の遺影も掲げられ、「安倍イズム」の継承者であることを盛んにアピールしているように見えるのだ。

 高市氏と同じ地元選出の衆院議員である小林茂樹前内閣府副大臣(59)は、こう話す。

「会場の舞台袖で拝聴していましたが、私自身、安倍さんの銃撃現場で街宣の進行役を務めていた関係で、なんとか元総理のご遺志を継ぎたいという思いが強く、高市さんを応援したい」

 振り返れば、前回が総裁選初挑戦となった高市氏は、議員票では河野太郎氏を上回って2位を獲得。無派閥で“一匹狼”と呼ばれた彼女が見事に善戦できたのは、安倍元首相という後ろ盾の存在が大きかった。

保守票の食い合い

 だが、安倍元首相が率いてきた旧安倍派は、裏金問題で解散の憂き目に遭ったのはご存じの通りである。

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏の解説によれば、

「高市さんが出馬する際の壁は推薦人集めでしょう。安倍さんが生きていた頃は“安倍さんに近い”といわれていたので、本来だったら旧安倍派の保守系議員が推薦人に名を連ねてもいいはずでした。ところが、保守派の若手議員の間では、高市さんに対するアレルギーが結構あるんです」

 実際、前回は高市氏の推薦人だったコバホークこと小林鷹之氏(49)は、今回自ら立候補。保守票の食い合いが起きてしまっている。

 高市氏を応援する前出の小林氏に聞くと、

「推薦人集めについては、まだ始めたばかりじゃないでしょうか。どのくらいのめどがついているか分かりませんが、安倍さんの路線を継続、今よりも保守路線に修正してほしいという声が党内にあるのは事実なので、支持する人は決して少なくないと思います」

お礼や、世話になった人間との会合もなく……

 とはいえ、前回の総裁選で高市氏に熱烈な支援を行った“安倍シンパ”の中でも、不評を買っているというのだ。

 党所属のさる国会議員が明かすには、

「前回の総裁選が終わった後、高市さんから直接お礼やねぎらいの言葉を頂けませんでした。私よりも熱心に支援した同僚議員へも、フォローがなかったそうです。お世話になった人との会合を開くこともなく、そのせいで高市さんから離れてしまったという話も聞きますね」

 持ち前の朗らかさもあって、右も左もイデオロギー問わず、会えばファンになったという逸話も多々聞かれた安倍元首相。故人から高市氏へと継承されていないものが、まだまだありそうな様子なのだ。

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「週刊新潮」2024年8月29日号 掲載